ツイッター、ユーザー離れは起きていない?マストドンは今度こそブレイクなるか

日影 Twitterは盤石なヘビーユーザー層を強みにサードパーティーを根絶し、公式を使ってもらうことで広告収入を上げ、あわよくば有料のTwitter Blueを使ってもらいたいのでしょう。赤字体質がTwitterの長年の課題でしたから。

 逆に言えば、Twitterほどのサービスでも赤字だったんですよね。Twitterは、特に日本では強く支持されていますから価値のあるアプリと言えますが、「収益」という面で見れば価値のないサービスとも言えたわけです。2月にサービスを終了する位置情報アプリ「Zenly」も、10代から絶大に支持されていたサービスでしたが、マネタイズに問題があったと考えられます。

「ポストTwitter」マストドンは“何度目かの正直”

――そう思うと、Twitterの「収益性の低い事業にテコ入れし改善していく」というのは、企業にしてみればもっともな、当たり前な行動ともいえますね。

日影 はい。ですが、Twitterに限らず、ネットの文化はオープンなものあり、みなが使い育ててきたという雰囲気もある中で、一部を締め出し、囲い込もうとも取れるTwitter公式の姿勢に嫌悪感を持つ人は、コアユーザーほど出てくるかもしれません。Twitterのサードパーティーの中には、今後は「マストドン(ドイツ発祥のミニブログサービス)で展開していく」旨を発信しているところもありましたね。

――Twitterユーザーにとって不本意な機能改変があるたび「次はマストドンだ」と長年言われながらも、サーバーを選ぶ必要性などとっつきにくさがあってか、なかなかブレイクできないマストドンでしたが、今回何度目かの正直なるか、ですね。

日影 数カ月後に結果が見えてくるでしょうね。また今回、イーロン氏の就任から3カ月足らずでここまで改変を進めたスピード感は、アプリならでは、という印象です。

老舗動画サービス「GYAO!」も終了へ

日影 そして、2005年から運営していた動画サービス「GYAO!」も3月での終了を発表しています。こちら、App Apeで見ると、同業他社であるNetflix(こちらは有料サービス)と日次ユーザー数の規模はおおむね似ていました。なので、ユーザー数は少ないわけではないですが、動画にはYouTubeという巨人がおり、ほかにもNetflix、TikTok、Amazon Primeと競争が激化しています。

 その中で「GYAO!」の立ち位置は若干中途半端だったのかもしれません。オリジナルコンテンツはあるものの、Netflix並みに予算をかけられるわけでもない、TVerほどテレビコンテンツを流せない、サッカーワールドカップ中継など一大イベントをAbemaTVのように持ってこれないなど、ですね。「マネタイズ」と「ポジション」が作れないと、アプリはなかなか難しいのだろうなと思います。