支払う消費税は2割でよい?フリーランスがインボイス制度で絶対「損しない」方法

――申請は税理士に頼まずに個人でできるものですか?

原:税理士に頼んだ方が確実ではありますが、個人でもできるとは思います。

――インボイス制度の施行まであと一年弱です。この期間でフリーランスの人はどんな準備をしておくべきでしょうか。

原:まず現状把握です。登録業者になったらどのくらいの消費税を支払うことになるのかを把握することと、取引先の状況を分析し予測することです。取引先はインボイスの発行を必要としているか、自分が免税事業者のままだとどの程度の影響受けるのか、課税事業者にならないと取引してもらえなくなるのかなどをシミュレーションしたうえで、交渉に臨むのが大切だと思います。

 もちろん交渉してみたけれど、これまで消費税分だった金額を報酬に上乗せしてもらえないというケースや、はなから交渉のテーブルにつけないというケースもあると思います。その場合は登録事業者になって消費税に課税されるのと、免税事業者のままでいて消費分報酬が減るのとどれだけ違いがあるのかを計算し比較してから、登録するかどうかを決めることをおすすめします。

――インボイス制度の導入にあたっては、経過措置もありますね。

原:そうなんです。じつは免税事業者に払った消費税の全額が、令和5年10月1日からいきなり仕入税額控除できなくなるわけではないのです。令和11年9月30日までは、インボイスの発行がなくても課税事業者に支払ったものとみなして、80%(令和8年9月まで)または50%(令和11年9月まで)の金額の仕入税額控除を認めましょうというものです。免税事業者と取引する会社の負担を軽減する制度なので、フリーランスは、取引先と価格交渉するための猶予期間として有効に使ってほしいですね。

――2022年12月の税制改正大綱でも、新しい経過措置が発表されました。

原:はい、これは免税事業者が登録事業者になったら、支払う消費税は2割でよいというものです。インボイス発行事業者にならなければ、免税事業者のメリットが受けられたはずの人が対象で、令和8年9月30日までの経過措置ですが、フリーランスはこれらの特例をうまく使って、もっとも損をしない方法を考えていきたいですね。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。