建設会社こそ「利益改善がしやすい」理由…赤字工事を撲滅→みるみる利益が出る法則

 社員全員が関与できる数字、理解できる数字、身近な数字こそが粗利益です。よって粗利益こそが、利益改善において最も重要な利益となると言えるのです。

――また建設業界の傾向として粉飾決算の多さも指摘されていました。粉飾が横行する背景についてお聞きしたいです。

中西:先程お話しした、建設業界の工期がカギを握っています。工期は長く、現場によっては、期を跨ぐこともあります。よって建設業界においては、その期の損失を次の期に「送る」ことが比較的安易にできる点が、粉飾が多い背景として挙げられます。

 この期の損失は次の期に返せばいい、皆そう思って次の期に送る「粉飾」を行っているようです。結果、その数字が雪だるま式に増えていく、という構図になっています。

――本書で指摘されていたように、会社の問題は経営者の問題です。本書を通じて彼らにどんなことを伝えたいですか?

中西:経営の軸を売上から粗利益に変えること。そこに尽きます。売上を上げることには意味も価値もありません。売上の数字はただの表面的な幻想にすぎないとも言えます。

 企業は利益を上げてこそ価値があり、存続できます。そのことにのみ本気で向かってもらいたいです。その意識を持つだけでも各社の利益は確実に上がると確信しています。粗利益だけを経営数字の軸にしろ、私は建設業界の全経営者の方にそう強く言いたいです。(新刊JP編集部)

※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。