売上4千億円、カップヌードル「謎肉」製造…不二製油、有名すぎる黒子企業の秘密

「不二製油がすごいところは、商品となるさまざまな加工品の研究に多額の投資をしているところです。大阪府泉佐野市に『不二サイエンスイノベーションセンター』、茨城県つくばみらい市に『つくば研究開発センター』という、2つの巨大な研究施設を有しており、そこで日夜新たな製品の開発に勤しんでいます。

 こうした研究にかける努力は凄まじく、なんと90年代には当時日本ではまだ無名だったイタリアの洋菓子『ティラミス』を、その素材から製法まで合わせて製菓業界に広め、結果的に日本で空前のティラミスブームを誕生させた過去があります」(同)

無数の商品を生み出す原料を押さえているのが強み

 誰もが知る有名企業たちに使われている不二製油の製品。いったい同社はなぜここまで多岐に渡るジャンルに強いのか。

「植物性油脂という、無数の商品を生み出す原料を取り扱っているからでしょう。フライ用の油やアイスクリームといった冷菓用の油脂、ホイップクリーム、マーガリン、粉末油脂、炒め油、チョコレートなど、植物性油脂を使う場面は無数にあります。それら多岐に渡る製品の源流を押さえ、かつ商品を卸す企業からのさまざまな要望に合わせた細やかで丁寧なチューニング技術や、3000件以上といわれる特許も有している。だからこそ多くの食品メーカーにとってなくてはならない企業になっているのではないでしょうか。

 コンビニエンスストアやスーパーに行けば、おそらく不二製油の製品を使った食べ物はすぐに手に入るはずです。ただし、商品の裏のラベルにも名前が載っていないので、それが不二製油の製品を使ったものか判別できません。明確に不二製油の製品とわかった上で一般消費者が購入できるものでいうと、『不二製油 大豆ミート 和風ベジハンバーグ 80g×10個入』という冷凍ハンバーグがネットで購入することができますね。他にも『大豆ミート ソイフィレ』という、ヒレ肉風の大豆ミートなども販売していますが、そちらは1袋で1kgという大容量の業務用なので、個人で消費するのは少々大変かもしれません」(同)

 知らず知らずのうちに私たちがお世話になっていた不二製油。同社はかつてネット上のあるインタビューで「BtoBで完結するメーカーは存在しない」と語っているとおり、表舞台には立たずとも、常に我々消費者のことを念頭に置いて商品を開発しているのだろう。

(文=A4studio)