視聴率アップのために新番組を用意したり、さまざまな事情で番組内容をリニューアルしたりすることは仕方がない。とはいえ「不変」への安心感というものもあるだろう。たとえば『ZIP!』では、番組開始時から俳優・速水もこみちが担当していた料理コーナー「MOCO’S キッチン」が終了した際、ネット上には「ガッカリ」「残念」との声が続出した。一方で『めざましテレビ』は、番組開始時から人気の「きょうのわんこ」という家庭で飼育されている犬を紹介するコーナーが今も続いており、「『きょうのわんこ』に癒されてる」という視聴者も少なくない。
しかし、そんな『めざましテレビ』も新しいものを取り入れたり、それで残念な結果になったりすることもある。最近の成功例は、22年4月から番組内で放送しているアニメ「ちいかわ」だろう。毎週金曜日にイラストレーター・ナガノ氏による人気漫画『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』(講談社)のアニメをオンエアしており、好評だ。
「残念なケースでいうと、16年にX JAPAN・YOSHIKIが『世界に向けた新たなビジュアル系ガールズバンド、その名もLady’s Xをプロデュースする』と発表し、それを『めざましテレビ』が『We are Lady’s X』と題した密着企画で追うという話があったものの、いつの間にか番組上では『なかったこと』に。YOSHIKIが17年に頸椎人工椎間板置換手術を受けたため、その影響でプロジェクト自体のスケジュールが大幅に変更されたとみられますが、その後、日テレ系情報番組『スッキリ』(平日朝8時~10時25分)が追ったオーディション企画『Nizi Project』は一大ブームとなりましたから、『めざましテレビ』サイドは悔しい思いをしたかもしれません」(スポーツ紙記者)
とはいえ、そんな「We are Lady’s X」企画を逃しても、18年以降は視聴率争いで1位に輝いている『めざましテレビ』。そもそも『スッキリ』視聴者にハマった企画も、『めざましテレビ』視聴者にハマるとは限らない。放送時間帯も違い、『めざましテレビ』の時間に起きている視聴者は、オーディション企画をゆっくり眺めている暇などないだろう。そう考えれば、毎回短時間だけ放送される「きょうのわんこ」や「ちいかわ」は、『めざましテレビ』視聴者の慌ただしい朝に「ちょうどいい癒し」を与えてくれているのかもしれない。
30年目の節目となる今年、『めざましテレビ』は視聴率首位キープを目指しつつ、引き続きお茶の間に安心感や癒しをもたらしてほしいものだ。
(文=Business Journal編集部)