番組出演時に、ヨーロッパリーグのマイナーチームに所属するDFのプレースタイルをスラスラ語り、国内・海外リーグどちらにも異常なほど詳しく、戦術や選手の特性に加え、Jリーグ振興策に至るまで、多角的にトークを展開したのである。
番組史上最年少ゲストとは思えない博識ぶりに、番組メインMCの勝村政信が思わず「来週からこの席、代わってるかもしれない」と恐れおののいたほど。あまりに大きなインパクトを残したこともあり、のちに同番組に“SPECIAL ANALYST”の肩書で不定期出演することになったのであった。
このときの反響は非常に大きく、直後からサッカー系メディアからのオファーが殺到。さまざまなテレビ、雑誌、ウェブ媒体におけるサッカー関連企画に登場し、特にサッカー系YouTubeチャンネルで大暴れすることになった。そこでも圧倒的な成績を残している点は見逃せない。
影山はDAZN JapanのYouTubeチャンネルの『内田篤人のフットボールタイム』によく出ているが、その再生回数からも反響がよくわかる。たとえば、同チャンネルで内田がドイツブンデスリーガのFCバイエルン・ミュンヘンの凄さを語った回は再生がかなり多く、約6.6万回再生に上った。これはサッカーファンならみんな観たいだろうと思える内容で納得の数字なのだが、それでも彼女が出た回はその比にならないのだ。
影山が出演し、イングランドプレミアリーグのサウサンプトンFCについて語ったとき、約15万回もの数字を記録したのである。反響や影響力がどれだけあるかがよくわかる。制作サイドがこの成績を見逃すハズがなく、今日の大躍進の一端に繋がっている。
そして何より、彼女が出た番組は盛り上がる。その理由は、ポジショニングのうまさにある。有名なMCや解説者がいるときは一歩後ろに引いて「ああ、そうですよね」などと相槌を打つ程度にとどめるなど、リアクションが絶妙なのだ。かと思えば、自分の戦術論を聞かれた際や、自分が主役で出ていい場面ではガンガン前に出る。要は中途半端に出て行かないワケだ。媚びを売っている感じもまったくないし、かなり豊富な知識を持ちながら、スタンドプレイに走ることもない。
たとえば、Jリーグ公式チャンネルで昨年1月20日に公開された動画である。ガンバ大阪などで活躍した元Jリーガーで、当時Jリーグの特任理事だった播戸竜二(現・日本サッカー協会のアスリート委員)とJリーグにまつわるクイズ対決をした際のことだ。3問先取の企画で2問たて続けに先取したこともあり、企画を盛り上げるためか、あえて播戸に花を持たせるような節が見受けられた。しかも、播戸が正解したら「さすが特任理事」と褒める一方で、自分が正解したら「イエーイ!」と全力で喜ぶなど如才がない。年長者を立てながら、企画そのものを成立させる、実にクレバーなふるまいだった。
頭の回転が早いから、喋っていることもすごくわかりやすいし、中立の立場でいろんな選手やチームの良さを引き出して話すこともできる。加えて、サッカーに関する豊富な知識を適切にわかりやすくアウトプットする抜群のコメント力の持ち主なのである。
また、司会の役割ができる点もポイントが高い。事実、今回のテレ朝系列やABEMAのサッカー関連番組で、進行役のアナウンサーが不在の際には、ほぼ彼女が番組の仕切りを任されていたのである。
ここで今回のW杯関連での彼女の名場面を挙げてみよう。日本代表初戦の対ドイツ戦でのスタメン予想で10人的中させたほか、3戦目の対スペイン戦の結果予想を「2-1で日本勝利」と完全的中させている。ちなみに、この試合の注目選手についても、決勝点をアシストした三苫薫の名を挙げていた。さらに、惜しくもPK戦で惜敗した決勝トーナメント1回戦の対クロアチア戦の予想スコアも「1-1でPK戦にもつれ込む」と予想。「PK4-3で日本勝利」との予想こそ外れたが、その慧眼ぶりには恐れいるしかない。