「税金が原資の政党交付金と政治資金の報告書は形式的に分けられ、政策活動費に税金は入っていないことになっているが、建前にすぎない。お金に色はないので、税金も入っている」(岩井氏)
政策活動費の原資は、個人や企業・団体から寄付された政治献金と、税金から政党を通して受け取る政党交付金になる。幹事長らが万一私的に使っていたとしても、国民にはわからない。個人の懐に入れば雑所得になるが、それをチェックすることができない。脱税の可能性さえある。
政治資金規正法上、合法でも、倫理的には大いに問題がある。国会の自浄作用によって、政策活動費の収支が透明化されないのだろうか。
「政策活動費が問題にならないのは、与党だけでなく野党も及び腰だから。文通費の公開を求めている維新も『領収書を取れないものもある』と公開には後ろ向きだ。自民ほど派手ではないかもしれないけれど、政党助成金を一律に配分した後、特定の議員に上乗せしたりするときに、この金が使われたりする。バレれば『ズルいじゃないか』という話になる。与野党とも表に出せない自由な金が必要なので、制度改革は進まない」(岩井氏)
岩井氏は法律の趣旨・概念自体も考え直すべきだと話す。
「政治資金規正法はそもそも、収入に関する法律だ。支出に関しては、政治活動の自由という名目の下、何も規制がない。だから、規正法の意味合い自体も変えていかなければならない。受け取るところをきれいにしても、昨今大きな問題になっているのは支出だ」
(文=横山渉/ジャーナリスト、協力=岩井奉信/日本大学名誉教授)