90年代にテレビアニメも大ヒットしたバスケ漫画の金字塔『SLAM DUNK(スラムダンク)』の新作アニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』(12月3日公開)が“声優交代”で炎上している件について、公式Twitterが10日に声明を発表。それでも批判は収まらず、火に油を注ぐような格好となったことで物議を醸している。
約26年ぶりの新作アニメとなる今作は、原作者の井上雄彦氏が監督・脚本を担当。事前情報がかなり限られており、公開1カ月前になってもあらすじすら発表されていなかった。そんな中、東映アニメーションの公式YouTubeチャンネルで4日に配信された特番でボイスキャストが解禁されたのだが、これが炎上の原因となった。
今作では、湘北高校メンバーの宮城リョータ役を仲村宗悟、三井寿役を笠間淳、流川楓役を神尾晋一郎、桜木花道役を木村昴、赤木剛憲役を三宅健太が担当。90年代に放送されたテレビアニメ版では、桜木花道役が草尾毅、赤木剛憲役が梁田清之、流川楓役が緑川光、三井寿役が置鮎龍太郎、宮城リョータ役が塩屋翼だったが、今回はキャストが一新された。
この直後、SNSを中心に「テレビアニメ版のイメージが強いから声優交代は受け入れられない」「オリジナル版の声優さんたちは全員第一線で今も活躍してるのになぜ変更?」「声優全とっかえはガッカリ…特に花道の声がジャイアンの人って違和感あるし、流川が緑川さんじゃないのも納得できない」などと批判が殺到し、炎上状態になった。
こうした事態を受けて、公式Twitterが10日に「みなさまへ」と題した声明を発表。「たくさんの反響をいただいている中で、作品を楽しみにしてくださってる方々のさまざまな思いを受け止めております」と反響を認識していることを明かしつつ、「私たちは、スラムダンクを昔から愛してくださってる方も、はじめて見る方も、とにかく楽しんでもらいたい、という思いで制作を続けてきました。映画はまもなく完成します。みなさまに楽しんでいただける作品になるよう、監督・スタッフ一同、最後まで心を込めて制作してまいります」と記した。
おそらくは「昔のスラムダンクを観ていない人も楽しめる作品にするため、声優を一新した」というニュアンスが含まれているのだろうが、旧作からのファンは納得せずに非難の声が続出。それというのも、キャスト発表の前にグッズ付きのムビチケ前売り券(アクリルボード付き:5200円、布ポスター付き:3550円)などを販売していたからだ。
ネット上では「前売りを買ったけどキャスト交代するなんて思ってなかった」「前売り券を売っておいて、後出しでキャスト全とっかえしましたと発表するのは許せない」「キャスト交代すると思わずに前売りを買ってしまった人もいるはず」といった声が寄せられ、炎上が加速している状況だ。
アニメの声優交代が物議を醸すのは珍しくないことだが、必ずしもファンが受け入れないわけではない。現在放送中のアニメ『うる星やつら』(フジテレビ系)は、80年代に放送されたテレビアニメ版からキャストを一新したが、ほとんど批判の声はなく新キャストの「オリジナル版をリスペクトした演技」も好評だ。
だが今作については、熱烈なファンが多い作品である上にオリジナル版の声優たちが「現役バリバリ」であり、さらに「前売り発売後のキャスト発表」が災いしたとみられる。事前情報を極力少なくしてファンの興味をひく戦略だったのかもしれないが、それが裏目に出てしまったといえそうだ。