ダウンロードしたものの、数回使っただけで休眠状態だったり、アンインストールしてしまったりしたアプリがある人も多いはずだ。テレビCMなどでは「数百万ダウンロード突破!」と威勢のいい言葉を聞くが、実際にどんなアプリがどの性年代にどのくらい使われ続けているのか。
本連載では、ダウンロード数だけでは見えない「アプリの利用率」をモニターの利用動向から調べるサービス「App Ape」を提供しているフラーに、四半期ごとに人気アプリの実態について聞いている。
同社のオウンドメディア「App Ape Lab」編集長の日影耕造氏に、2022年第3四半期(7~9月)のアプリ利用動向について聞いた。
日影耕造氏(以下、日影) 7~9月はエンタメにおいて2つのキラーコンテンツがあり、その関連アプリが大きく伸びました。まず一つ目は、漫画『ONE PIECE』の映画『ONE PIECE FILM RED』です。
――同作は8月の公開から2カ月ほどで興行収入は167億円となり(2022年10月中旬時点)、歴代の国内映画興行収入でも11位の大ヒットとなりましたね(参考:CINEMAランキング通信)。
日影 映画のヒットに伴い、2018年にリリースされていた『ONE PIECE』のアプリゲーム「ONE PIECE バウンティラッシュ」(以下、バウンティラッシュ)もユーザーが急増したんです。映画の封切に合わせて、ゲームの方もメディアミックスを行ったようですね。以下がバウンティラッシュの日間利用ユーザー数推移です。実数は公開できないのですが、増加率などの様子はわかると思います。
なお、2022年7~9月におけるバウンティラッシュのユーザー数の「伸び率」は、全ジャンルのアプリの中でもトップでした。
――日間利用ユーザー数が、映画公開前から5倍強まで増えていますね。
日影 映画公開から1カ月後となる2022年9月におけるユーザーの性年代比は、以下になります。10代男性の人気が圧倒的ですね。
――本家といえる漫画『ONE PIECE』の連載開始は1997年です。今も「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載されているため、10代男性の現役ファンも多いでしょうけど、連載当初からのファンは今は大人になっていますから、この10代男性への偏りはちょっと意外でした。
日影 これは、バウンティラッシュのゲーム性によるところも大きいかもしれません。バウンティラッシュはアクションゲームなんです。
――バウンティラッシュのホームページを見ると、最大4対4で格闘、とあり、実況動画を見ても反射神経がないと厳しそうなゲームですね。
日影 通常、長寿タイトルのアニメや漫画のメディアミックスとして提供されるゲームアプリは、ファンの年齢層が幅広くなることもあってか、気軽にできるタイプのゲームが多いのですが、その点でバウンティラッシュは「ゆるくない」ゲーム性です。これが10代男性にフィットしたのかもしれませんね。
『ONE PIECE』は本家の漫画に限らず、今回大ヒットした映画、そしてアクションに振り切ったゲームと、さまざまな入口からさまざまな世代の取り込みに成功しているといえますね。
日影 2022年7~9月のキラーコンテンツの2つ目は、9月9日に発売された「スプラトゥーン3」です。
――スプラトゥーン3は発売後3日間で日本国内の売り上げが345万本を突破し、Nintendo Switchソフトの発売後3日間の国内販売本数としては過去最高を記録しています。