群馬大学医学部、3分の1が留年、必修科目の即興演劇で大量の落第者…文春報道

 我が国では、苦い歴史があり、公権力は大学への介入に抑制的だ。これは、戦前の滝川事件や戦後の安田講堂事件などを経て、日本社会で確立したコンセンサスだ。誰からもチェックされないのだから、大学は運用次第では『聖域』と化す。

 では、どうすればいいのか。大学教員が『自律』し、問題ある教員がある場合は、教員・学生同士で相互批判するしかない。日本の大学の問題は、このような精神が失われていることだ。これは、今回問題となった群馬大学医学部に限った話ではない。日本大学の不正や、東京大学教養学部の留年問題など、自律と相互批判の欠如が、組織の腐敗を招いている。両大学の問題は、教員と学生の無関心という点で、群馬大学と同じだ。

 今回の件は、メディアが大きく報じたため、国会や文科省でも問題となるだろう。群馬大学は担当教員を処分するはずだ。大学は、権力である政官、そしてメディアに屈することになる。自律と相互批判なき大学で学問が発展することはない。学問なき国家は衰退する。ガリレオは、なぜローマ教会に抗ったのか。彼は、そこまでして何を守ろうとしたのか。今こそ、考えるべきだ」

(文=編集部、協力=上昌広/血液内科医、医療ガバナンス研究所理事長)