副業として、資産運用として株取引を行なっている人、興味がある人は多いはず。
当然、やるからには損を出したくないし、できるだけ多くの利益を出したい。だから株の値動きを示すチャート分析を学んで、「買いサイン」「売りサイン」を頭に叩き込み、チャンスを逃さないように備える。
しかし、どんなに準備をしても、チャートはトレーダーの期待通りに動かない。「絶対の買いサイン」だったはずなのに株価は下がったり、「確実な売りサイン」の直後に値上がりしたりする。チャートを見て株をやっていれば、こうした経験を誰でも持っている。
『騙されるな!嵌められるな!欺かれるな!株チャートサインを鵜呑みにしない次世代技法』(冨田晃右著、ぱる出版刊)はこうした「チャートにダマされる」現象に焦点を当てる。
本書では「チャートはさまざまな指標の組み合わせによって売買サインが発せられ、それにトレーダーが追随すると理論通りにチャートが動く」としている。ただ、実際にはチャートは理論を裏切り、トレーダーを欺く。なぜこんなことが起きるのか?
その理由の一つは「マクロで出るサインとミクロで出るサインの食い違い」だ。日足(短期的な値動き)では売りサインが出ていても、月足(長期的な値動き)では買いサインが出ていることもある。この二つのサインを読みまちがってしまい短期的な値動きにのみ反応してしまい、長期的な値動きを軽視してしまうのだ。
たとえば、あなたがある株を保有していたとする。その株の日足サインが売りとなり、あなたが日足だけ見ていれば、売ることになる。しかし、この時の月足サインは買いであるので、株価は反転上昇していく。
このように月足を見ていないと、まだまだ保有しておくべき株を早期に売ることになってしまう。
それだけではない。機関投資家など大口の投資家やトレーダーが、個人トレーダーを誘導して、自分達が有利になるように株価を操作するケースもあり、これも個人トレーダーが判断を誤る原因になっている。普通のトレーダーであれば誰もが知っている「買いサイン」を意図的に演出して、逆手にとる手法が使われるのだ。
たとえば、大口の機関投資家やトレーダーなどが安いところで先に買っておいて、その後、買いサインを演出して小口のトレーダーが買うタイミングで売って利益を確定させたり、売りサインを出して売らせ、安くなったところで買い、その後上がったところで売る、といったことである。チャートをよく研究している個人トレーダーほど、この手口に引っかかってしまう。
また、トレーダー本人の判断ミスによって騙されてしまうケースもある。チャートから浮かび上がる売買サインを短絡的に判断し、自分にとって都合のいい方向に勝手に解釈してしまい、その裏に潜むダマシを正しく判断できなくなってしまう。その売買サインは本当に信憑性のあるものなのかは、その時の株式市場の状況やチャートの原理・原則と照らし合わせて客観的に判断すべきだ。
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これらの要因によって、普通の個人トレーダーはチャートの値動きにダマされてしまうのだが、本書によると、これらの「ダマシ」を回避することは決して難しいことではないとし、その回避テクニックを解説していきながら、そのダマシ自体を積極的に利用していく方法も解説していく。
チャートを真面目に勉強すればするほどハマってしまう「ダマシ」の罠。研究しているのに結果に繋がらない人や、取引で冷静な判断ができない人にとっては、本書は大いに役立ってくれるはずだ。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。