オワコン化するモーターショーの衰退…出展に見切り、先進国は開催の危機に直面も

 それでは、2023年に開催予定の「東京モーターショー」はどうなるのだろうか。前回開催の2019年から自動車業界にとらわれないショー内容にされており、次回はさらに先鋭化するともいわれている。筆者のように従来のモーターショーイメージを強く抱く年齢層にはいささか違和感はあるものの。さまざまな層を取りこみ、イベントとして成功させるには有効なのかもしれない。ただ、今回のデトロイトショーのように、完成車メーカーの参加は“日本メーカー+α”程度になれば上々といえるだろう。

 かつては、ドイツの「IAA(フランクフルトショー)」、アメリカのデトロイトショー、そして東京モーターショーが“世界の三大モーターショー”と呼ばれていた。しかし、フランクフルトショーは開催地をミュンヘンに変え、デトロイトショーは3年ぶりに開催すると、往時のイメージは完全になくなっていた。そして、東京モーターショーも中国の上海や北京、広州ショーなどに開催規模や話題性では完全に持っていかれ、日本の自動車産業の情報発信力の低下も手伝い、衰退の一途をたどった。

 筆者が子どもや若い頃に、オートショーの多くが“開催の危機”に陥るとは夢にも思わなかった。人間以外にも物事には寿命があるとは言われているが、見本市色の強い旧態依然としたオートショーも、文明の進化、そしてそれに伴う時代の変化などにより、市場成熟度の高い先進国からオワコン化し、その多くが消えて行ってしまうのだろうか。