ちなみにそのほか3人新人の得票数は、前区議の西本貴子氏(61)が1万8559票、共産党推薦の大学非常勤講師の村川浩一氏(75)が8279票、諸派扱いの「品川に維新を起こす会」の元区議大西光広氏(65)が7821票という結果だった。
なお公明党は自主投票を表明した。
では、品川区長選の争点はなんだったのか。地元建設業者は話す。
「子育てや福祉など一般的な話題を除き、品川独自の争点は羽田空港着陸機の降下新ルート対応とか、駅前や区役所庁舎の再開発とかですかね。駅前と庁舎建て替えは、地元事業者にとって非常に大きなテーマですが、大企業勤務の多い品川区の住民には関心の薄いテーマかもしれません。選挙やり直しとなれば、また税金が無駄に使われます。こういう事態は避けるべきだと思います」
創価学会、立正佼成会、生長の家(現在は政治との関係性を否定)といったさまざまな宗教団体や、連合や共産党系の全労連といった労組の動きは、低投票率が続く首都圏の地方選挙の動向に少なからず影響を与えてきた。自民党関係者は語る。
「選挙に注目される争点がなく低投票率が見込まれる中で、候補者が乱立すれば“終盤戦であと少しの上積み”を可能とする“組織票”が当落を決めるカギになります。つまり今、話題になっている旧統一教会と同種の問題にいきつくわけです。
首都圏など都市部の地方選挙の投票率が上がらない限り、基本的に組織票を積み重ねていくものです。しかし組織票の負の側面が世の中に明らかにされてしまった。これからかは旧統一教会はもってのほか。その他の“宗教団体”や“組織票を持つ団体”へのお願いも、有権者から厳しい批判を浴びることになるのではないでしょうか。今後、立候補者が乱立した場合、こうした再選挙が起こる可能性が十分にあると思います。
今後は有権者が関心を持つ争点や政策を、立候補者がどれだけ提示できるかどうかにかかっていると言えます」
総務省によると全国の首長選で、再選挙となるのは2017年の千葉県市川市長選以来という。ちなみに17年の市川市長選は、後に“テスラ公用車問題”や“市長室ガラス張りシャワールーム設置問題”などで注目された市長が誕生する契機になった。
今回の品川区長選は歴史上7例目という。再選挙にかかる費用の問題も大きい。8例目、9例目と再選挙が続かないといいのだが。
(文=Business Journal編集部)