ちょっとしたことが気になってしまい、あれこれと考えて不安になり、生きづらさを感じてしまう。おそらく言った本人は深く考えていない言葉にいちいち傷ついたり、悩んだりしてしまう。そんな、周囲よりちょっとだけ繊細な人がいる。
そんな繊細な人ほど、ネガティブ方向に考えが向かいがちな傾向がある。そして、自分の考え方の傾向に気づいていないケースも多い。だから、自分が周りよりも繊細なことがわかっておらず、自分の繊細さとの付き合い方もわからない。
こういう人にとって大切なのは、自分の敏感さを活かせる「良い考え方のクセ」を身につけて、繊細さとうまく付き合っていくことだ。
『ナイーブさんを思考のクセから救う本』(清水栄司著、ワニブックス刊)では、千葉大学大学院医学研究院認知行動生理学教授、精神科医の清水栄司氏が、生きづらさを感じてしまう思考のクセを解説し、そのクセをやめて良い考え方のクセに直すトレーニングの方法を紹介する。
考え方のクセを良いものに変えるために、普段から実践できる健康習慣が、小さな幸せを見つけること。ポジティブ心理学を提唱したアメリカのマーティン・セリグマン教授は「3つの良いこと」として、寝る前に3つ良いことを書くと幸福度が高まる可能性を示した。
清水氏は3つの良いことをさらに「できたこと」「楽しかったこと」「感謝すること」に分けて、小さな良いことを見つける練習を5分間でできる認知行動療法の心の健康づくりとしてすすめている。
この練習を続けると、「今日、人に会って嫌なことを言われた」というネガティブな出来事ばかりをみるのではなく、「今日あいさつしてもらえた」というようなポジティブな出来事を見つけられるようになる。些細なことでも毎日が楽しくなったり、自分に自信をもちやすくなるのだ。
また、本書では敏感さ、繊細さに生きづらさを感じてしまう思考のクセを直すために効果的なのが、「考え方の見直し」だとしている。考え方のバランスをとることで人は変わることができる。そのために自分以外の視点に立ってみることがいい訓練になる。別の人の視点から考えてみると、世界観が変わることもある。
別の考えをする技術のひとつが「逆にする」ことだ。これは、文法的に単純に逆にすること。たとえば、「この人は自分を嫌っている」と思ってしまった場合は、「この人は自分を嫌っていない」と、肯定文にすればいい。「自分はダメだ」という考えは、「自分はダメじゃない」と、全く反対の考えに変えることができるのだ。
心の健康を維持し、高めるためには、繊細さとの付き合い方が大切になる。繊細な人を生きづらさから救うガイドブックである本書の良い考え方のクセに直すトレーニングの中から、できることから実践してみてはどうだろう。(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。