企業のマーケティング担当者にとって、自社のサービスや商品をECサイトや自社ホームページで紹介したり、オウンドメディアに記事を書いたりするためのライティングスキルは必須のものとなっている。ただ、ビジネス上の文章は「読んでもらえすればOK」というものではない。
Webライティングには目的がある。
・顧客に商品を買ってもらう
・自社サービスに興味を持ってもらう
・会社の理念に共鳴してもらう
など、ビジネス上の目的である。文章を書くことに慣れていないとこれらの目的にまで意識が回らず「書いただけ」になりがちだ。これでは、いくら書いても成果に結びつきにくい。
ビジネス上の目的を達成する文章を書くには、外してはいけない鉄則がある。
『デジタル時代の実践スキル Webライティング 読者が離脱しない、共感&行動を呼ぶための最強メソッド』(佐々木ゴウ著、翔泳社刊)は、その鉄則を教えてくれるWebライティングの教科書である。
最初に知っておくべきことは、いきなり書き始めないこと。文章は手法や書き方よりも 「文書の“手前”こそが命」 (P 12)なのだ。
では、書く前に何をするかというと、どんな記事(文章)を書くかという方向性を整理すること。つまり「どういった場所で、どういった成果を求めて、誰に向けて書くのか」を明確にしてから書き始めるのが基本なのだ。
もちろん、多くの人は書く前に大まかな構想を練る。ただ、何をどこまで決めてから書くかは、結局のところ「書き手次第」になりやすい。本書では「メディア設計シート」「記事企画シート」を通じて、曖昧になりやすいこの部分を明らかにしていく。「ここまで考えたら、書き始めても問題ない」というスタート地点がわかるのが特徴だ。
たとえば「メディア設計シート」は
・メディアの目的…あなたが書く文章を掲載するメディアがどんな目的で運営されているのか(自社サービスの顧客獲得、自社への転職希望者への情報提供など)。
・メディアのざっくりターゲット…どんな人に読んでほしいか(メディアの目的から逆算すると考えやすい)。
・メディアテーマ…どんな情報を提供するか(アイデアが先行して、本来との目的とは違う記事にならないために)。
・記事テーマリスト…それぞれの記事のテーマを考える(メディアテーマが決まることで、個々の記事のテーマも考えやすくなる)
の4つの項目がある。
これらを明確にするだけでも、会社としてやりたいこと、ビジネスとして達成したいことを押さえた文章・記事を書きやすくなる。
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ただ、本書はここで紹介した鉄則を踏まえて、それ以上のところまで踏み込む。記事の企画から本文の書き方・推敲、取材やSEOの手法まで、マーケティングのための文書を書くための、「はじめの一歩」から仕上げまで教えてくれるのがありがたい。
マーケティングための文章、ビジネス上の目的を達成するためには、高い文章力よりも大事なものがある。本書を読めばそのことがわかり、自分が何をすればいいかがはっきりとわかるはずだ。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。