コロナ禍で在宅時間が増え、ランチやカフェなどでの外出が少し特別なものになってきました。その際に、どこにでもある・いつでも行けるお店ではなく、独自のこだわりを持つお店を選ぶ人も多いことでしょう。そこで今回は、非日常が味わえて、大人でもワクワクするカフェ「現場喫茶」をご紹介します。
現場喫茶があるのは、墨田区・押上の東京スカイツリーから徒歩約5分の場所。閑静な住宅街の一角に佇んでいます。なんと、こちらは建設会社が運営するカフェ。「建設現場」をコンセプトにした、建設会社らしさあふれるお店です。
現場喫茶を運営している株式会社?橋工業の広報課の今井さんによると、「前々から社内で上がっていた『ショールームを兼ねたカフェがほしい』という声から生まれた」そうです。
「工事というと『難しそう』とか『堅苦しそう』というイメージを持つ人も多いと思いますが、そういったイメージを払拭して、防水工事や大規模修繕工事などを気軽に考えるきっかけになるような場所として始めました」(今井さん)
実際に、現場喫茶に来店したお客さんから、雨漏りや外壁修繕などの相談を受けることもあるそうです。
店内はALCと呼ばれる軽量気泡コンクリートパネルに、天井や壁を這う配管がむき出しのままという超インダストリアルな雰囲気。店内の奥にはフェンスが立てられ、廊下と分けられています。
「内装はもちろんですが、棚が建設現場の足組のようになっていたり、コンセントが工具入れの中に入っていたりして、細かいところにも建設現場っぽさがあふれているんです」(同)
フロアにはドライバーやハケなどの工具、塗装工事に使う下地調整剤やアスファルトの見本コーナーを設置。カウンター横の壁には、図面が書かれています。トイレの前には、浮いて見える「トリックアート」があり、店内を見て歩くだけでも楽しい!
店内中央と奥には2つの大型テレビが設置されており、手前のテレビには実際の工事風景のVTRが、奥のテレビでは?橋工業の紹介VTRが流れています。
「塗料を塗り広げていくシーンなど、普段は見ない光景が続くので、ずーっと眺めているお客さんもいらっしゃいますよ」(同)
トイレに続く廊下には、工具がテーマの文房具や宅建のテキストなど住宅・建築関連の本が並んでいます。
こちらには常連の方も多く、今井さんは「建設現場感満載で、はじめはワクワクしているのですが、なぜか居心地がいい。そのギャップに惹かれて2回、3回と通ってくださっているのだと思います」と分析します。
「建設現場」にちなんだ、ちょっと珍しいフード&ドリンクをご紹介します。今の暑い時期にピッタリなのが「カラネリ」。
「カラネリ(空練り)」とは現場用語のひとつで、水を入れずにセメントや砂、もしくは砂利などを練ることを指します。それにちなんで「カラネリ」は、バニラアイスとエスプレッソ抽出用に挽いた珈琲豆を練りながらいただくスイーツです。もちろん、水は混ぜません(エスプレッソショットの追加注文は可能)。
濃厚なコーヒー感のあるバニラアイスは、なんとも大人な気分を味わえる逸品です。
他にも、現場用語の「アイバン(相番・合番)」という名前のドリンクもあります。「相番・合番」とは、異なる業種の人たちが同じ現場で作業をするという意味。それにちなんだ「アイバン」は、コーヒーにレモンスカッシュを合わせています。柑橘系のさわやかさと甘さにコーヒーが合わさった、清涼感たっぷりのドリンクです。
定番メニューの「現場カレー」も建設現場感満載! 大きなスコップのお皿に乗って、うしろがスパナになっているカトラリーと一緒に運ばれてきます。