8月13日は、イギリスの「Left Handers Club」が制定した「左利きの日」。
右利きの人は普段あまり意識することはないが、左利きの人は日常生活のあちこちで「右利き向け」に作られた道具や設備に不便な思いをすることが少なくない。
一方で、こんな俗説も古くから伝えられてきた。
「左利きは右脳が発達しているため、独創的な発想ができる」
「左利きは天才肌」
「左利きは変わった人が多い」
これらの俗説を否定する説もまたあり、真偽は定かではない。左利きには本当に右利きにはない特性があるのだろうか?
脳内科医・加藤俊徳氏は著書『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き 「選ばれた才能」を120%活かす方法』(ダイヤモンド社刊)で『脳科学的に見て、左利きは多数派とは異なる個性を持つ「すごい」人たちです。』としている。
本書によると、利き手が異なると脳の使い方が変わるそう。よく言われているように、左利きは右脳、右利きは左脳と、それぞれに役割の違う脳を主に発達させているのである。
これは、同じことを同じように経験しても、右利きと左利きでは感じ方が違うことを意味するし、インプットの仕方が変われば、アウトプットの内容も変わってくる。左利きの人が周囲と少し違ったものの見方をしたり、変わった言動をしたり、妙に映るものを作ったりするのであれば、それは右利きと左利きの脳の違いに原因があるようである。
同時に、左利きの人には生まれながらに「マジョリティである右利きの人と同じように行動する」という課題が与えられている。思えば日常のあちこちで、左利きの人にとって不便なものに出くわす。何かを切ろうにも右利き用のハサミしかない場面は多々あるし、駅の自動改札のタッチセンサーは右側にある。お茶を入れる急須も左利きにはとても使いにくい。こうした生活の中で「どうしたらうまくいくか」を考え、工夫する習慣がついていることも大きい。
マジョリティとは違う脳の使い方をしてきた左利きが獲得した「すごさ」として、本書では「直感」と「独創性」「ワンクッション思考」を挙げている。
たとえば独創性。
左利きはそもそも、9割の右利きとは脳のネットワークの構造が異なります。(中略)右利きとは異なる回路で常に脳を使っていますから、本人にとっては普通でも、周りから見ると独創的にならざるを得ないのです。(『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き 「選ばれた才能」を120%活かす方法』より)
本書によると、右利きと左利きの最も大きな脳の使い方の違いは、右利きが主に言葉で情報をインプットするのに対して、左利きは「目でとらえた情報をイメージで記憶する」傾向が強い点。同じ物事を記憶したとしても、イメージで保存してあるぶん情報量が多く、そこから取り出せるものも増え、それらを多様なかたちに発展させやすいという。これが「独創性」につながっていくのだ。
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左利きと右利き、どちらが優れているということではなく、それぞれに特徴や強みがある。もし、利き手が左であることで「みんなと違う」と引け目を感じていたり、コンプレックスを持っているのなら、本書で明かされる左利きのすごさを知れば勇気が出てくるはずだ。
また、左利きならではの強みを知ることで、仕事でも勉強でも自分に合ったやり方を見つけやすくなる。自分のなかにまだ秘められた能力が眠っていると考えると、未来に期待を持つこともできるのではないだろうか。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。