百貨店を凌駕する「ドラッグストア」業界が直面する店舗過剰・値上げ・新たな再編

 大手同士の合併は業界地図を塗り替え、同時に各社の次の一手に注目が集まっています。値上げという逆風下ではコストアップを吸収する戦略が必要になりますが、それには販路拡大と大量仕入による単価抑制が定石です。群雄割拠のドラッグストア業界では、値上げの先に新たな再編が待ち構えている可能性もあるでしょう。

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両社は経営統合で業界3位へ(提供:東京商工リサーチ)

――業界再編が進むとしたら、どのようなイメージでしょうか。

増田 上場12社以外にも独立系の有力企業が多くあります。たとえば、関東であれば富士薬品(埼玉県)が手がけるセイムス、セキ薬品(埼玉県)、関西のキリン堂(大阪府)、九州を商圏とするドラッグストアモリ(福岡県)などです。こうした、非上場のチェーン店も含めた大手主導になることは間違いないでしょう。また、地域に強いドラッグストアにも注目です。上場企業でも北海道ではサツドラ、関東以北に展開するカワチ薬品、北陸・東海地区中心にフード&ドラッグのゲンキーを運営するGenky DrugStoresは、徹底したドミナント戦略で10年で75店から343店(2021年6月末時点)と4.5倍に増えています。

 たとえば、地域で高いシェアを持つドラッグストアをM&Aでグループ化すれば、その地域のシェアを一気に手中に収めることができ、勢力図が一気に塗り替わる可能性もあります。今後は、これまで以上にスケールメリットを追求する大手と、地域でドミナント戦略を徹底するチェーン店というように、戦略の違いが明確になっていくのではないでしょうか。

【※】カワチ薬品、マツキヨココカラ&カンパニー、ウエルシアホールディングス、クリエイトSDホールディングス、コスモス薬品、ツルハホールディングス、サツドラホールディングス、クスリのアオキホールディングス、スギホールディングス、薬王堂ホールディングス、Genky DrugStores、サンドラッグ