マクドナルドの決定でアップル、スターバックス、ナイキなどロシア事業を一時停止している企業や、コカ・コーラ、マイクロソフト、ゼネラルエレクトリック(GE)が撤退を早めることもあり得るという。
ルノーはアフトワズ株式(67.69%)をロシア国営の中央自動車エンジン科学研究所に売却すると発表した。モスクワ工場の運営会社(ルノーロシア)の株式もモスクワ市に売る。ロシア事業は2022年1~6月期にルノーの連結対象から外れる見通しだ。ルノーの場合、6年間、アフトワズ株を買い戻す権利を有するとしており、ロシア事業を将来的に再開する選択肢は残す。
この結果、ルノーはフランスに次ぐ重要市場を失うことになる。ルノーの2021年のロシアでの販売実績は48万台で世界販売の18%を占める。ルノーのデメオCEOは「決断は簡単ではなかった。経済制裁で他の選択肢はなかった。破綻すれば4万5000人のロシアの従業員が仕事を失っていた」と述べた。ロシア市場でのルノーの販売シェアは28.8%。母国フランスでのシェアより高い。
ロシアからの撤退によって発生する損失を穴埋めするため、「ルノーは保有している日産株の一部の売却を検討している」との報道が海外でなされている。アフトワズには日産自動車も出資している。カルロス・ゴーン元CEOがモスクワを訪問し、プーチン大統領と握手をしてアフトワズ株を買い取った。ルノー・日産の対ロシア損失はどのくらいになるのかが注視される。
英石油大手シェルは5月12日、ロシアの小売事業をロシアの石油大手ルクオイルに売却することで合意したと発表した。22年1~3月期に減損など撤退関連費用で約42億ドルを計上した。独シーメンスも5月12日、ロシア事業からの撤退関連費用で22年1~3月期に6億ユーロ(約800億円)の損失を計上した。
従来通りロシアでビジネスを続けている企業は210社を超える。中国企業が目立つが、日欧米の企業も名前を連ねている。
(文=Business Journal編集部)