「岸田派のホープ」から一転…吉川議員を即見捨てた岸田首相の冷徹さ

岸田文雄首相(「gettyimages」より)
岸田文雄首相(「gettyimages」より)

 国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。

 国会は予定通り、6月15日に閉会を迎えました。6月22日公示、7月10日投開票で決定した参議院議員選挙に向けてまっしぐらですが、やっぱり国民的には盛り上がっていないですよね。

 そんな中での吉川赳(たける)衆議院議員の「パパ活報道」は、前回もちらっと書きましたが、閉会後も話題になっています。6月9日は内閣不信任決議案などが採決される大事な本会議がありましたが、吉川議員の記事が掲載された「週刊ポスト」(小学館)の「早刷り」(発売日前の誌面)がものすごいスピードで拡散されました。

 神澤は、院内テレビで本会議の様子を見ながら「吉川議員はみんなにからかわれたりしているのかなぁ」なんて思っていたのですが、なんと事前に察知して本会議を欠席していました。これはダメでしょう。自民党も緩みすぎですね。体調不良など正当な理由がなければ欠席なんて許されませんよ。他にも内閣不信任決議案の採決に遅刻(!)して、投票できなかった議員も2名いましたしね。どうなっているのでしょうか。

大絶賛から手のひら返しをした岸田首相

 このパパ活報道を受けて、自民党の世耕弘成参議院幹事長は「非常に問題の多い案件だ」「日にちも特定され、写真も多数が掲載されている」として、最初からまったくかばうそぶりを見せず、議員辞職すべきだとコメントしています。

 しかし、それ以上に冷たいのは岸田文雄首相ですよね。吉川議員のリーフレットでは「宏池会の中でも、将来を嘱望され、また現在でも即戦力として国政の最前線で活躍しているホープ」と大絶賛しているのに、13日の参院決算委員会では「(派閥の)メンバーに対して何か評価するようなことはした覚えがない」としています。

 この「覚えがない」というのがミソですね。「言ってるじゃないか」と言われたら「忘れてました」と言えばいいんですから。もう国会も終わったので、追及されないと思っていますよね。

 まあ吉川議員が“ホープ”だなんて、強烈なイヤミです。ホープだと思っている人なんかいません。日頃から、議員同士ではとても愛想がいいのに、秘書に対してはとても横柄で、昨年の自民党総裁選のときなども見下した目で指図していました。

 そして、吉川議員本人は離党届を出したものの議員辞職はしないようです。逃げ切れると思っているのかもしれませんが、議員辞職は免れないでしょう。

 一方で、吉川議員はもともと西麻布界隈では有名な遊び人だったようで、以前から週刊ポストは取材を続けていたと思います。このままでは、来月の参院選への影響も多少は出るのではないでしょうか。

 自民党としてはあくまで辞職を促すだけで、辞職勧告まではしないと思います。やっぱり緩いというか甘いし、岸田首相は冷たいですね。このまま説明責任を果たさず、辞職もせずに逃げ回っているだけでは、国民の怒りは高まるだけでしょう。

吉川スキャンダルで助かった2人の議員とは?

 この吉川議員のスキャンダルが拡散されればされるほど、陰で「助かった!」と喜んでいると思われる人物が2人います。細田博之衆議院議長と細野豪志衆議院議員の“細コンビ”です。

 細田議長は自身のセクハラ疑惑がうやむやになるとほっとしているでしょうし、吉川議員と選挙区が同じ細野議員は、これでやっと自分が自民党公認候補として次期総選挙に臨めると喜んでいるでしょう。

「細コンビ、救われたよね~。吉川スキャンダルに」と、国会では話題になっています。吉川議員の件は、細田議長への批判をそらすために仕組まれたハニートラップ説もあるほどです。まあ、ないと思いますけれども。