子会社の楽天シンフォニーが黒字化達成のカギを握る。基地局の通信機器をクラウド上のソフトウェアに置き換える技術を使った通信網を外販する会社である。21年8月、ドイツの新興企業が採用を決めるなど、「数千億円規模の受注を獲得した」(楽天グループ)という。海外で得た収益を国内ネットワークの増強に充てるというのが楽天グループの読みだ。
だが、携帯電話事業の黒字化は厳しい。基地局整備などで20年12月期に過去最大の5089億円を投じ、今後も減価償却の負担増が重荷になる。背に腹は替えられなかったのだ。0円で使い続ける、自社の利益にならないユーザーは切り捨て、値上げに踏み切らざるを得なかったわけだ。
値上げしたからといって、赤字が消えるわけではない。新規成約件数は伸びるどころか、解約が増える。携帯電話事業は22年12月期も赤字が続くと見られている。三木谷氏は菅義偉元首相の後押しを受け、携帯電話事業に本格参入した。政権側は、携帯大手3社の値下げを引き出す“呼び水”として楽天に期待しただけで、大手3社が値下げを実施したことで、楽天はお役御免になったという見方もある。
楽天グループはさまざまな事業に手を出してきたが、携帯電話事業が最大のお荷物となったことだけは間違いない。
(文=Business Journal編集部)