「歯周病菌が、異常なたんぱく質が脳に蓄積することを加速させてしまうことが明らかになった。歯周病の治療や予防で、認知症の発症や進行を遅らせることができる可能性がある」とまとめています。
その他、糖尿病、心臓疾患などにも歯周病との関連を示す文献が多く発表されています。このように最近では、歯周病と全身疾患との関連性について、さまざまな報告がされるようになってきました。歯周病菌の出す毒素が複雑に絡み合いながら、全身に良くも悪くも大きな影響を与えるようです。
つまり、歯周病に対しては、細菌の除去だけではなく、禁煙をしたり、腸内環境を整えたり、体重管理をしたりして、できるだけさまざまなリスク因子に、並行したアプローチをすることが肝要だといえます。「口の健康」は、すべての健康への起点なのです。
次回は、「人生100年時代を生きるための健康法」についてお話ししたいと思います。
(文=林晋哉/歯科医師)
●林 晋哉(歯科医師)
1962年東京生まれ、88年日本大学歯学部卒業、勤務医を経て94年林歯科を開業(歯科医療研究センターを併設)、2014年千代田区平河町に診療所を移転。「自分が受けたい歯科治療」を追求し実践しています。著書は『いい歯医者 悪い歯医者』(講談社+α文庫)、『子どもの歯並びと噛み合わせはこうして育てる』(祥伝社)、『歯医者の言いなりになるな! 正しい歯科治療とインプラントの危険性』(新書判) 、『歯科医は今日も、やりたい放題』(三五館)、『入れ歯になった歯医者が語る「体験的入れ歯論」: -あなたもいつか歯を失う』(パブフル)など多数。
林歯科HP:http://www.exajp.com/hayashi/