楽天グループの21年12月期連結決算は、コロナ禍の巣ごもり需要でメインの楽天市場は好調なものの、楽天モバイルの携帯通信事業が基地局整備などのコストが重くのしかかり、グループ全体では1947億円の営業赤字だった。楽天は携帯事業に本格参入してから2年が経過するが、基地局整備とKDDIに支払うローミング接続料が2つの大きな赤字要因となってきた。
基地局整備については今年2月の時点で全国に4万局以上設置し、通信サービスの提供範囲を示す人口カバー率は96%を達成、当初計画を4年前倒しで実現するなど急ピッチで進めている。ローミング接続料については、屋外について23年度にKDDIとの契約を打ち切りたい考えだ。
三木谷氏は25周年式典で、2030年までに楽天グループの連結営業利益率(国際会計基準)を20%超とすることを目指すことを宣言した。携帯電話事業の早期黒字化が絶対条件となるが、目先は今秋の電波法改正法案の行方に注目が集まりそうだ。
(文=竹谷栄哉/フリージャーナリスト)
●竹谷栄哉・フリージャーナリスト。食の安全保障、証券市場をはじめ、幅広い分野をカバー。Twitterアカウントは、@eiyatt.takeya