「億ションの購入者は、湾岸のタワマンブームの頃のように転売目的の投資家ではない。富裕層がセカンドライフ目的で購入している。新型コロナの感染拡大で、経済は大きなダメージを受けたが、足元の株価は高値を維持し、資産家の財布は傷んではいない」(前出のアナリスト)
15年の相続税法改正が富裕層を億ション買いに向かわせたとの指摘もある。現金ではなく不動産で資産を所有するケースが増加したという。不動産投資で相続税の負担が軽減されるだけでなく、家賃収入を得ることもできる。節税目的だけでなく老後の安定収入源の確保のためにマンションを購入することが行われている。
相続税対策としてマンションの需要が増えれば、自然の成り行きでマンションの価格は上昇する。「億ションの購入者は株高の恩恵を受けた経営者や起業家」(前出のアナリスト)。
国税当局は課税を強化する動きを見せている。不動産投資による節税を抑えるためのきめ細かい対策が取られ、大規模な税制改革が行われれば、空前の億ションブームは終焉を迎えるが、「この間にひと稼ぎ」と考える資産家は減りそうにない。
(文=Business Journal編集部)