所得の海外流出額、なぜ度肝を抜くレベルに?需給ギャップ、2年以上マイナスの可能性

 具体的には、耐震強化すべく老朽化した道路や橋梁の点検補修を前倒しすることが挙げられる。さらに、国際競争力向上のためにも、国内の生産性を高めるための国際的な空港、港湾、鉄道、道路等の更なる整備や、光ファイバー網や電気自動車の充電インフラ整備の更なる拡充等が必要である。

 もちろん、経済が正常化すれば財政再建は必要である。しかし、効果的に財政出動をするためには、需要喚起が見込める省エネ対策を思い切って加速させ、将来やらなければならないことをこの際前倒しすることも必要であろう。これらの政策により、環境関連産業をさらに伸張させることに加え、国内の潜在需要をいかに顕在化させることが重要である。

(文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト)

●永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト

1995年早稲田大学理工学部工業経営学科卒。2005年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。1995年第一生命保険入社。98年日本経済研究センター出向。2000年4月第一生命経済研究所経済調査部。16年4月より現職。総務省消費統計研究会委員、景気循環学会理事、跡見学園女子大学非常勤講師、国際公認投資アナリスト(CIIA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、あしぎん総合研究所客員研究員、あしかが輝き大使、佐野ふるさと特使、NPO法人ふるさとテレビ顧問。