多様な味が楽しめるクラフトビールは唯一の成長市場になっている。キリンHDの海外のクラフト販売はキリンHDの世界でのビール類売り上げ数量の1割にようやく達した。世界でビール市場が縮小するなか、高付加価値のクラフトビールは数少ない成長領域とキリンは見ており、米国と豪州でクラフトビールの販売に注力する。
国内ビール大手4社は国内の不振を海外で補う構図で共通している。キリンHDは21年12月期決算(国際会計基準)で唯一、減益だったが、ミャンマー事業の撤退に伴う減損が響いた。売上収益は前期比1%減の1兆8215億円、純利益は17%減の597億円だった。
キリンHDはアサヒグループホールディングス(GHD)に先駆け、海外を開拓してきた。一方、アサヒは欧州と豪州の巨額M&Aでプレミアムビール会社などを手に入れ、21年12月期の国際事業の事業利益が全体の74%を占めるまでとなり、海外事業で明暗を分けた。キリンHDはアサヒに海外事業で大きく水を開けられた。キリンHDは海外事業をいかに立て直すのか。クラフトビール頼みでは心もとない。
かつて国内ビール市場の6割を占め「ビール業界のガリバー」と評されたキリンHDは、どこへ向かおうとしているのだろうか。
(文=Business Journal編集部)