このなかでHHC(ヘキサヒドロカンナビノール)は愛好家の間で高い支持を得ており、これまで合法として販売されてきた。HHCにはTHCに類似した気分を高揚させる効果があり、一部の若者の間では、口コミでブームになっていたようだ。そういった背景を鑑み、規制成分に指定されたという流れだ。
しかしながら、3月17日の施行を前に、在庫の販売に力を入れる業者もSNS等で散見されており、使用者が急増する恐れもある。
現行の大麻取締法24条の2では「大麻使用」について、「大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する」とあるように、大麻の使用についての規制はない。しかし、厚労省は昨年より、使用そのものを規制する「使用罪」を創設するための審議を重ね、法改正が行われる可能性が高い。
他方、海外では医薬品としてだけでなく嗜好品としても大麻使用を認める国もある。日本人のなかにも、海外で大麻を使用した経験があるという人が少なからずいるだろう。あくまで筆者個人の見解だが、そういった現状を考えると大麻の使用罪を設けるよりも一定の規制下での大麻使用を認めるという検討をしてもよいのではないかと感じる。
少なくとも、大麻に関しては“ドラッグ”というネガティブな側面だけではなく、医薬品への転用などポジティブな側面についての可能性を論議すべきと思うが、読者諸氏はどう感じるだろうか。
(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)
吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。