昭和産業は22年3月期の連結売上高を前期比12%増の2875億円に上方修正した。従来予想は9%増の2800億円だったから微増である。純利益は60%減の40億円になる見通し。従来予想は41%減の60億円だったから減益幅が拡大する。食用油原料の大豆や菜種、業務用製粉などに使う小麦の相場の高騰が響くほか、円安・ドル高で輸入コストが上昇しているのが痛い。
昭和産業は3月1日納品分より家庭用食用油で1キログラム40円以上上げた。21年に年間4度の値上げを実施したが、大豆や菜種は今後も国際相場の高止まりが懸念されている。
値上げラッシュは何をもたらすのか。原材料高を価格に反映できるのは、一部の大企業に限られ、多くの中小企業では値上げが浸透しないのが実態だ。帝国データバンクの調査によると中小企業の約6割で仕入れ価格が前年同月を上回ると回答したが、その半数超で「販売価格への転嫁は無理」と見ている。過去の小売業の倒産では「仕入れ価格の上昇時に、消費マインドの低下を警戒して価格転嫁できなかった結果、しわ寄せを受けた末に資金難に陥り、経営に行き詰ったケースが少なくなかった」と分析している。
飲食業を中心に“コロナ倒産”の次は製品価格の上昇を販売価格に転嫁できない、“インフレ”倒産が続出することになり、これが食品など他の業種にも波及する。構造的な要因を含むインフレ倒産の退治は、簡単にはいかない。
(文=Business Journal編集部)