レンタルのゲオが始めた「ゲオヤ」とは?昭和の雰囲気すら感じる謎のコンビニ業態

「『GEO-YA』はコンビニから弁当・おにぎり・サンドイッチなど、消費期限が短く食品ロスが出やすい品目を除き、カップ麺や菓子、飲料など日持ちする食品のみに特化することで、食品ロスの削減につなげるというコンセプト」

 ゲオヤは、近年社会問題になっている「食品ロス」の解決策として登場した業態ということなのだ。同社はリユース事業で環境保全に力を入れており、新たに食品ロスに目を向けるのも不思議はない。

セルフレジで手こずる客も

 20分ほど店内を観察していると、近所の小学生たちが駄菓子を買いに来たり、20代の客が脇目も振らず喫煙室に直行したりするなど、全体的に若い客が目立つ。セルフレジの前では、ビールを買おうとしていた初老の男性が店員の呼び出しボタンを押し忘れて手間取っていたところ、店員が登場して無事に買い物を済ませる一幕も。ほぼ無人の店内でセルフレジの操作が必要なゲオヤは、シニア層には使いにくいのかもしれない。

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酒・タバコ類を買うときは店員を呼んで年齢確認をするシステム。ちなみに、環境に配慮したレジ袋は無料で使える。地味にありがたい

 商品の値札には「会員価格」と「非会員価格」の2つが記載されていた。“会員”とは「GEO-YAメンバーズカード」を持っている人のことらしい。会員になると、タバコなどの一部商品以外は10%割引になるという。年会費500円、月換算で約42円を高いと見るか安いと見るかは、ゲオヤの利用頻度によるだろう。ゲオの会員カードとの連携ができれば便利そうだが、ゲオヤの今後の展開はいまだ未知数だ。

 食品ロスの課題解決をうたってはいるが、実際に店舗に行ってみると、いわゆる“意識高い系の店”という印象はない。駄菓子や100円ショップでもよく見かける菓子類が陳列され、酒もタバコも買えて喫煙室まで完備されている……セルフレジ以外は昭和の雰囲気すらも感じる、とことん庶民派な小売店だった。

 22年2月現在、ゲオヤは板橋区にしかない。都心に住んでいる人でもなかなか行きにくい場所だが、偶然蓮根に足が向いたときは、ゲオヤに行くと懐かしさに浸れるかもしれない。

(文=谷口京子)