テレビの現場からすれば、数字的な部分だけでの判断ではなく、想定よりもスポンサーや視聴者の反応が良いということだろう。それでも、今後の国際的なスポーツイベントの放送、報道は衰退していくと見ているという。
「一番の要因は、テレビ局が放映権の高騰に耐えうる体力を失いつつあることです。五輪に関していえば、完全に赤字ですから。今年は冬にサッカー・ワールドカップも予定されていますが、同じように厳しい結果になると暗い見方が強いです。コスト削減を上から強く言われる今、もはや劇的にスポーツ報道が改善されるということはないでしょう。
たとえば、大谷翔平や八村塁、大坂なおみといったスーパースターの映像を借りて、適当な識者を読んで、それっぽく番組をつくっても視聴率的には大差がないのです。コロナ報道の影響も強く、そういった楽な方向に走ろうという現場の流れや上の意向もあり、それは番組づくりにも影を落とすようになっています。平たく言えば、資金的な意味でも、報じ方もテレビ放送の限界を迎えているといえるでしょうね」
“商業五輪”と揶揄され続ける近年の五輪だが、もはやメディアにとっても決して美味しい商品とはいえない状況なのかもしれない。
(文=中村俊明/スポーツジャーナリスト)