心配なのは若年層だ。40代の場合は「前澤氏のお金配りなら応募するが、それ以外のどこの馬の骨かわからない人のお金配りには応募しない」という分別のある人がほとんどだと思う。若年層でも分別のある人の方が多いとは思うものの、「フォローする程度なら大丈夫だろう」であったり、またこれは若年層にありがちだが「友達(会ったことのないネット上のフォロイー、フォロワーなども含む)もフォローしてるから大丈夫だろう」と周りにつられ甘く考えてしまう比率は、中年層より増えるのではないだろうか。
そして、若年層よりさらに心配なのは、病気や障害により、本人に分別のついた判断を求めるのが難しいケースだ。全国社会福祉協議会のパンフレット「高齢者・障害者を悪徳商法の被害からまもるために」には、「被害に遭われた人々は、病気や障害の特性から、自分から被害を訴えることができなかったり、他者に助けを求められなかったり、さらに被害そのものの自覚さえないことも見うけられます」と非常に重たい記述がある。
詐欺の手口を見て、「こんな手口に騙されてしまうなんて」と思ったことのある人は多いと思うし、私もそう思っていたが、さまざまな詐欺被害者手記などを読んで考えが変わった。「こんな手口に騙されてしまう精神状態にある人が社会には想像以上に多いから、悪質な詐欺はあとを絶たない」と、今は思っている。そういう境遇にある人に対して「騙される方が悪い」「自己責任」は酷だ。
内閣府の調査では、知的障害者は108万2000人、精神障害者は392万4000人とあり、さらに厚生労働省の推計では、2020年の65歳以上の高齢者の認知症患者の人数は約602万人とされている。また、これらの枠には入らない「グレーゾーン」のケースを入れると、数はさらに膨れ上がるだろう。
認知症の進んだ高齢者にスマホを持たせる人はいないとは思うが、若年層で軽度の知的、精神障害を持つ人の場合が難しいように思える。スマホはライフラインであり、文化的に生きるための必須品であり、「持たせなければいい」もなかなか難しい。
なお、前澤氏は前述の『クローズアップ現代+』のお金配り特集について、ツイッターで「取材依頼来なかったなー。。。危険な方だけ報じるのはフェアじゃないような」とつぶやいている。
(構成=石徹白未亜/ライター)