「ピクミン ブルーム」大人気の秘密…“戦わない位置ゲー”の斬新な魅力とは?

ゲームアプリの新機軸「ピクミン ブルーム」

日影 ゲームでは、21年10月26日にリリースされた「Pikmin Bloom(ピクミン ブルーム)」が好発進です。App Ape上の月間利用ユーザー数(MAU)ランキングでも11月が7位、12月は9位です。ゲームのMAUは長期運営アプリが独占しがちなので、リリース間もないゲームがここまでくるのは大健闘といっていいでしょう。

「ピクミン ブルーム」の新しさは「戦わない位置ゲー(位置ゲーム:スマートフォンの位置登録情報を活用したゲーム)」ということですね。従来型の位置ゲーである「ポケモンGO」「ドラゴンクエストウォーク」にしても戦う要素があるのですが、「ピクミン ブルーム」の場合は、育てる、愛でる、一緒に暮らすゲームです。「モンスターを集めて、倒して楽しい」とは、また別の要素なんですね。

――「戦って」系だと反射神経であったり攻略法であったりとか、あれこれ考えたりスキルがないと楽しめないため、やり込みたい人にはいいでしょうが、なじみがない人だと敷居を高く感じる、というのはありますよね。

日影 「ピクミン ブルーム」は裾野が広く、ゆるく、どの世代にも刺さりやすいでしょうね。また、ゲームとしてのおもしろさ以外に、ライフログ的な機能も充実しているんです。

 従来型の「戦う位置ゲー」のように、移動中にモンスターに遭遇したり、モンスターを探す、ということはないのですが、歩いた軌跡に応じて「ピクミン」が増えていきます。そして、毎日の軌跡が地図上で見られるんですね。さらに、そこに今日の気分はどうだったか、ランクをつけたり、その日スマホのカメラで撮影した写真と連携することもできるんです。

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図3

――スマホって思い出が詰まっていますよね。歩数計を見たり、撮影した写真のアルバムをなんとなく眺めるだけでも楽しいものですが、歩いた軌跡で「ピクミン」が増え、それが1日ごとにきれいにまとめられていると、確かに使いたくなります。うまいやり方ですね。

日影 こうした取り組みは継続利用につながりやすいんですね。事実、App Apeを見ると、休眠ユーザーが少なく、8割がアクティブユーザーです。

 位置ゲーは「ポケモンGO」や「ドラゴンクエストウォーク」などヒット作もあるのですが、「ポケモンGO」を共同開発したナイアンティックが制作した「ハリーポッター:魔法同盟」も22年1月31日にサービスを終了するなど、苦戦を強いられるものも多いです。今後、「ピクミン ブルーム」が「戦わない位置ゲー」として、どう独自の立ち位置を築いていくかは注目したいですね。

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 後編も引き続き日影氏に話をうかがう。テーマは、前澤友作氏の宇宙からのお金配りにおいてダウンロード必須だったアプリ「kihutown」について。

(構成=石徹白未亜/ライター)