21年2月、蘭クエスト・フォトニック・デバイスズ(外科分野)を63億円、5月にはイスラエルのメディテイト(泌尿器科)を272億円で手に入れた。科学事業を売却すれば1000億円超が手に入る可能性があり、これを新たなM&A資金に充当する。
22年3月期の連結純利益(国際会計基準)は前期比8倍超の1090億円になる見通しだ。18年3月期の国際会計基準移行後、最高益となる。新型コロナウイルス禍で延期されていた病院での検査や治療が再開し、主力の内視鏡や治療機器の販売が想定以上に伸びた。
売上高は17%増の8560億円、営業利益は76%増の1440億円と、従来予想をそれぞれ260億円、40億円上回る。業績を牽引するのは競争力がある内視鏡事業だ。病院の設備投資が回復し、20年に消化器内視鏡の旗艦製品を8年ぶりに新発売した。内視鏡事業の通期の営業利益は1270億円と前期比29%増える見通しだ。
竹内社長は「5~7年かかるような改革を3年でやる」と強調していた。22年3月期の売上高営業利益率は16.8%を見込み、目標とする同20%に一歩近づいた。収益率の低い科学事業を切り離すことで23年3月期の営業利益率は20%を達成できると見ている。医療機器大手でアイルランドのメドトロニックや米ジョンソン・エンド・ジョンソンなどはコロナ禍でも営業利益率はコンスタントに20%以上を確保している。オリンパスも最低でも20%をキープできるだけの競争力を維持できる体制を築きたいとしている。
22年3月期に営業利益率20%を達成すれば、竹内社長は公約を果たしたことになる。消化器内視鏡は世界シェア7割を占めるドル箱だが、先進国市場では成熟しつつあり、次の“エース”を育てたいところだろう。
(文=編集部)