「ニベアと混ぜるとシミが消える」は違法?薬機法のみならず景表法にも違反か

化粧品の広告に勝手に名前を使われたニベア
保湿クリームとして抜群の知名度を誇る「ニベア」(「amazon.co.jp」より)

 世界的なスキンケアブランドとして抜群の認知度を誇る「NIVEA(ニベア)」。そのニベアを国内で販売するニベア花王が12月3日、ある化粧品の広告に関してツイッター上で注意喚起を行った。

「『ニベアクリームと●●を混ぜるとシミが消える』という類の広告にニベア花王は一切関与しておりません。ニベアクリームを、他の製品と混ぜて使わないでください」

 指摘されている化粧品は、健康美人研究所が販売する「ヴィオテラスCセラム」だ。インターネットメディアやSNS、ゲーム広告などで「ニベアと混ぜるとシミが消える」と宣伝していた。なかには「皮膚科医が推奨する方法」と謳い、「もはや整形レベル」などと劇的にシミが消えることをアピール。

 このような広告を見た消費者からの問い合わせがニベア花王に数多く寄せられたことから、前出のような注意喚起を行うに至ったという。

 ニベアの知名度に便乗するかのように勝手に名称を利用し、混ぜるとシミが消えると謳うこの広告は、法的に問題ないのだろうか。山岸純法律事務所代表の山岸純弁護士は、次のように解説する。

「化粧品では、広告に使って良い表現が薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)によって制限されています。『シミが消える』は、そもそも広告の表現として許されていないので、薬機法違反です。また、どうせインチキでしょうから、景品表示法が禁止する『優良誤認(実際の性能より良いものと勘違いさせる広告)』になるので、景表法違反です」

 一般的にスキンケア商品は、医薬品、医薬部外品、化粧品に分類される。医薬品は、病気やケガなどの治療を目的とした薬であり、配合されている有効成分の効果について、厚生労働省が認めている。また、医薬部外品は、厚労省が認めた有効成分が一定の濃度で配合されている。医薬品が治療を目的としているのに比べ、医薬部外品は予防を目的としているといえる。

 これに対して化粧品は、肌を保湿する、汚れを落とす、といった、肌質の向上などを目的としており、医薬品や医薬部外品のように効能・効果を謳うことはできない。パッケージへの表記はもとより、広告でも禁止されている。

 ヴィオテラスCセラムに限らず、インターネット上には景表法違反が疑われる広告が急増している。「飲めば痩せる」「シミが消える」「シワが消える」などの効果を前面に出し、さらに「このページを閉じると二度と開けません」「残りわずか」「今日だけ」といった文言で購入を急がせるのも、詐欺的商品の広告によく見られる特徴だ。

 景表法が疑われる事例を見つけたら、消費者庁、公正取引委員会、都道府県知事のいずれかに情報提供しよう。外部からの情報提供を受けると、消費者庁は調査を実施し、違反行為があると認めた場合には、不当表示の排除や、再発防止策の構築などを命ずる「措置命令」を行う。違反の事実が認められない場合であっても、違反のおそれがあると判断すれば指導の措置を行う。

 心を揺さぶるような魅惑的な文言を掲げる広告は多々あるが、医薬品・医薬部外品ではないのに効果・効能を謳う商品は疑ってかかるようにすべきだろう。

(文=編集部)