米アップルのiPhone13の販売が9月24日から始まった。国内ではアップルの直接販売に加え、大手キャリアのNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクが取り扱っている。4月にiPhoneの販売を始めた楽天モバイルも加わる。
端末価格は、楽天モバイルが最安値だった。本体価格が一番安い128GB(ギガバイト)の各社の端末価格と割引価格(既存客が機種変更で端末を2年後に返却する場合)は次の通り。
・NTTドコモ:割引前11万1672円、割引後5万6232円。
・au:割引前11万5020円、割引後6万2100円。
・ソフトバンク:割引前11万5920円、割引後5万7960円。
・楽天モバイル:割引前9万8800円 、割引後4万9392円。
・アップルオンラインストアは本体価格9万8800円。
楽天モバイルはアップルストアからオンラインで直接購入する場合と同額で、ほかのキャリアは1万3000円~1万7000円ほど高い。2年で返却する場合の割引価格も楽天モバイルが最も安く、最も高いauとの差額は1万2000円強になる。最後発の楽天モバイルが、シェアを高めるために低い価格設定していることがわかる。
NTTドコモの「Pro Max」の1TB(テラバイト=1000ギガバイト)が24万3144円で最高額だった。
端末の日本向け出荷価格(正規代理店向け)は8万6800円~19万4800円(税込み)で、20年発売の「12」シリーズより、最も安い機種で約4000円、最も高い機種で約2万9000円高い設定となった。高機能化や大型化で端末の最高価格はこの10年で3倍に値上がりし、日本人の平均月収の約6割に迫る。日本はiPhoneのシェアが全体のおよそ50%という世界でも特異な市場になっていることから、こうした強気の商売ができるわけだ。
iPhoneはソフトバンクが2008年に日本で販売を始めた。米調査会社IDCによると、国内のスマホ市場でアップルがトップに立ったのは2012年。11年発売の「iPhone4S」からソフトバンクに加えてauでも購入できるようになった。さらに、13年から首位のNTTドコモが「iPhone5S」の取り扱いを始めたことから、一気に利用者が増えた。
スマホの世界シェアを見ておこう。20年の出荷台数のシェアは韓国のサムスン電子(シェア20.6%)がトップ。アップル(15.9%)は2位。ファーウェイ(14.6%)、シャオミ(11.4%)、ビボ(8.6%)の中国勢が追う。日本のメーカーは存在感を示せていない。
国内に目を向けると、アップル(46.5%)が断トツの首位。シャープ(13.3%)、富士通コネクテッドテクノロジーズ(8.3%)、韓国サムスン電子(8.1%)と続く。日本メーカーは国内でも外国勢の後塵を拝している。
アップルは圧倒的なシェアを背景に強気の価格政策を打ち出しており、新製品の端末価格は上昇を続けている。4Sの価格は16GBで4万円台、64GBで7万円台だったが、18年発売のXS、XRシリーズでは9万~17万円台と2倍になった。「13」は20年に発売した「12」シリーズより最も安い機種で約4000円、最も高い機種で約2万9000円高い設定となった。楽天モバイルが「13」の取り扱いを始めるので、アップルは、もっとシェアを伸ばせると読んでいるのだろう。
日本は、まさにiPhone王国なのである。
iPhoneの牙城に米グーグルが殴り込みをかけた。10月19日、スマホの新機種「Pixel6」を米国や日本で売り出すと発表した。グーグルは16年、独自ブランドであるPixelのスマホを投入したが、世界シェアは1%以下にとどまっていた。
Pixel6は独自に開発した半導体を搭載し、人工知能(AI)を活用して画像処理や翻訳などの機能を高める。撮影した画像から不要な物体を消去できる「消しゴムマジック」と呼ぶ機能を備え、記念撮影に映り込んだ人を消すといった用途を見込む。米国では価格を100ドル(1万1000円)引き下げ、シェア獲得に本腰を入れる。
日本では7万4800円に据え置いた。画面が一回り大きく、望遠レンズを含む3つの背面カメラを搭載する6 Proは11万6000円からとし、アップルより価格を下げた。
IT業界の世界的ガリバーであるアップルとグーグルのスマホ対決は、どうなるのだろうか。
(文=編集部)