現状を鑑みると、ファーウェイの復活はしばらく難しいかもしれません。そのためシャオミとしては盤石な地位を構築したとはまだ言い切れないまでも、しばらくは現在のポジションのままサムスン、シャオミ、アップル、中国メーカーのOPPO(オッポ)やVivo(ヴィーヴォ)といった競合メーカーと上位争いを繰り広げていくのではないでしょうか」(石川氏)
シェア上位を見ると、スマホ世界市場はそうした中国メーカーが席巻している。その背景についても教えてもらった。
「中国は人口が多いので、中国メーカーはまず中国国内向けに作ればそれなりに台数が売れるんです。台数が売れれば部材を安く調達できますから、安いスマホを世界中に展開できるわけです。
昔は中国メーカーの商品は品質が悪いイメージがあったかもしれませんが、近年ではノウハウの蓄積によって品質も向上していて、スマホに関しては世界各国で不安視されるような問題は起きていません。そもそもアップル含む各国のメーカーも実際に生産をしているのは中国の工場というケースがほとんどですから、中国は世界のスマホ工場といえるでしょう。
そして、中国メーカー勢はこれからまだまだ伸びていく可能性があります。例えば韓国で4番目に大きい財閥企業・LGグループはスマホ事業から撤退しています。韓国の大手メーカーでも中国メーカーに立ちゆかなくなっているということです。
また、スマホだけではなく家電産業にも舵を切りつつあるシャオミは、IoT関連やスマートカーの開発に力を入れて自動車産業にも進出しようとしています。そうした観点からも世界的な影響力はさらに増してくるでしょう」(石川氏)
そんなシャオミだが、世界諸国と比べて日本国内での普及率はまだ高いとはいえない。シャオミが国内でシェアをどう伸ばしていくかは要注目だと石川氏は説明する。
「シャオミは2019年12月に日本初上陸を果たし、KDDIやソフトバンクでも扱うようになりました。ですが日本ではまだ知名度もブランド力もイマイチで、現在は“スマホに詳しい人が買うブランド”といった程度の立ち位置です。
例えばスマホ世界シェア4位の中国メーカー・OPPOは、タレントの指原莉乃をCMに起用したことで日本での認知度を上げました。通常は、認知度を上げるためにそうした広告戦略を取るべきなんですが、先ほどお伝えした通りシャオミはそうした広告は打たないわけです。あくまで中国国内や世界各国で成功したネットやSNSの口コミでユーザーを増やしていく戦略を、日本でも採用していくようです。
ただ、日本は世界的に見てもiPhoneユーザーが特別多い国なので、そのポジションをネットの口コミレベルでひっくり返すのは難しいかもしれません。また、中国メーカーの参入に消極的な傾向のあるNTTドコモがシャオミを取り扱っていないという影響度は大きいので、その点もカギになるでしょう」(石川氏)
いくら質が良くリーズナブルなスマホを展開して世界的に人気でも、日本国内で普及するためにはまだまだ壁があるということのようだ。
(文=二階堂銀河/A4studio)