――10代女子より10代男子の方が多いのですね。確かに、10代女子の場合は「SNSに顔を出したら、知らない人から気持ち悪いDMやコメントが……」という経験があったり、そういう経験を友達から聞いたりすることもあるでしょうから、個人情報に対する警戒が男子より強い、というのもあるかもしれませんね。
日影 さらにグラフを見てみると、10代の子どもの「母親世代」が使っているのではないかと推測されます。
――自分が子どもなら、そこまで干渉されたくないですね……。
日影 位置情報をオフにすることもできるので、全国のご家庭でせめぎ合いがあるのかもしれませんね。また、10代ユーザーの利用増については、コロナ禍という社会情勢もあったのかもしれません。集まって対面で遊んだりするのが難しくなってしまったため、友達同士で「ここにいる」と確かめ合うことで、つながりを感じたいという思いもあるのかもしれません。
携帯電話が普及する前は家の固定電話にかけていたわけで、相手がどこにいるかを聞くまでもありませんでした。それが携帯電話になることで、「今どこ?」という言葉を使うようになりました。今はそれがアプリに移り変わり、言葉すらいらずに確認できるようになっているのかもしれませんね。
――10代は友達とつながるのが楽しくて仕方ない時期ですから、Zenlyが流行り、そういうことをしていくうちに、だんだん人間関係の「密」に疲れていって、20代になり、ただの自分でいたいGravityが支持されている……のかもしれませんね。
後編も引き続き、日影氏に「ウマ娘」「音声アプリ」など、最新ヒットアプリの背景についてうかがう。
(構成=石徹白未亜/ライター)
【※1】
『「アナ雪2」再来の大規模「ステマ」?疑惑の新興SNSアプリ「Gravity」について調査してみた』 (『すまほん!』より)