以上から判断すると、設備投資は、直近3カ月は横ばいであるが、コロナ禍以降もほとんど減少せず、年率8%といった比較的高い伸びで推移してきた。つまり設備投資は、コロナ禍の影響を受けず順調に増加したといえる。
この背景には、コロナ禍の下でも好調であった半導体産業が旺盛に設備投資を行ったことなどがある。韓国経済はコロナ禍の悪影響を受けて落ち込んだが、落ち込みの程度は他の先進国と比較して軽微であった。これは設備投資がコロナ禍の下でも順調であったからであり、設備投資は景気を下支えした立役者であった。
(文=高安雄一/大東文化大学教授)
●高安雄一
大東文化大学経済学部教授。1966年広島県生まれ。1990年一橋大学商学部卒、2010年九州大学経済学府博士後期課程単位修得満期退学。博士(経済学)。1990年経済企画庁(現内閣府)に入庁。調査局、人事院長期在外研究員(ケルン大学)、在大韓民国日本国大使館一等書記官、国民生活局総務課調査室長、筑波大学システム情報工学研究科准教授などを経て、2013年より現職。著書に『やってみよう景気判断』『隣の国の真実 韓国・北朝鮮篇』など。