ニトリ、日本全国を覆う…3千店体制に向け都心型小型店の出店攻勢、島忠買収で利益率低下

 ホームファッションのみを取り扱う「デコホーム」の出店目標は500店。今期は前期末より40店多い146店を目指している。新規の業態のアパレルブランドの「N+(エヌプラス)」は30代以上の大人の女性をターゲットに、おしゃれな商品を手ごろな価格で提供する(現在は閉店)。19年3月、ショッピングモール「ららぽーと富士見」(埼玉県富士見市)に1号店を出店。今期は4店増やし21店とする。

 N+の当面の出店目標は200店だ。似鳥会長が経営コンサルタントの渥美俊一氏が提唱した「チェーンストア理論」の実践者であることはよく知られているが、200店という数字は渥美氏の理論に基づく。200店舗を超えるとチェーンストアは大きな成長力を発揮し始め、500店を超えると異次元の効果を発揮するというのが渥美理論の核心である。渥美理論を忠実に実行したことでニトリは成功した。

 海外出店は中国(47店)、台湾(42店)、米国(2店)、東南アジア(2店)と積極的だ。今期末に国内・海外合わせて827店を計画しているが、これは32年、3000店舗体制を構築する通過点にすぎない。22年2月期の連結業績予想は売上高が21年2月期比22%増の8736億円、営業利益は4.5%増の1439億円、純利益は7%増の986億円を見込んでいる。予定通りなら35期連続の増収増益を達成できる。

 ただ、予想売上高営業利益率は16.5%。21年2月期の19.2%から2.7ポイント低下する。島忠の低収益が足を引っ張る。似鳥会長は「島忠との共同店舗を増やしたいが、今期は増収増益の達成がかかっているので、(改装費用など)ありとあらゆる費用を我慢している」と胸のうちを明かす。在庫管理の徹底や値引き販売の抑制など店舗運営に関連する経費の削減に心を配っている。島忠との相乗効果が発揮されるのは、早くて来期以降になる。

(文=編集部)