東京23区内で住むなら“割安”な便利エリアはどこ?豊島区の大塚駅が再開発で注目の街に

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大塚駅南口(「Wikipedia」より)

 株式会社リクルートが発行する「都心に住む by SUUMO」6月号では、ポストコロナの時代に向けて「東京2030 未来都市」を特集している。都心の再開発が進む中、生活様式の変化で郊外の需要が高まるとも言われているが、未来の東京はどうなるのか。「都心に住むby SUUMO」の柿崎隆編集長に聞いた。

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東京23区の“穴場”エリアとは?

――コロナ禍で都心の資産価値が落ちることを危惧する声もありますが、実際はどうなのでしょうか。

柿崎隆氏(以下、柿崎) 確かに、都心オフィスの空室率が上昇し、繁華街の商業地を中心に地価が下落するなど、短期的に見ればコロナ禍の影響は表面化しています。一方で、都心の住宅地は地価への影響も限定的で、大きな変動はありません。そのため、コロナ禍が収束すれば回復、もしくは緩やかな上昇基調に戻るでしょう。

 コロナ以前は、アベノミクスの金融緩和で地価も上昇基調が続いていました。都心部の地価が上昇すると、波及効果で周辺の地価も上がる傾向にあります。都心周辺への居住ニーズは根強いので、金融政策が変わらない限り、東京23区の地価が下落する可能性は低いでしょう。

――前回は再開発が進む都心の注目エリアを挙げていただきましたが、住宅購入という面ではハードルが高い感があります。そこで、東京23区で割安感があるエリアはどこでしょうか。

柿崎 価格と利便性のバランスの良さで、城東・城北地区が再評価されています。駅で言えば、江戸川区の西葛西駅、足立区の北千住駅、荒川区の南千住駅、北区の王子駅、赤羽駅、豊島区の大塚駅です。特に池袋駅の隣駅である大塚駅は再開発で街の雰囲気が一変し、注目されています。また、西葛西エリアなら、70平米で3LDKの物件が約5000万~6000万円台で購入できるでしょう。東京23区に住みたいという需要は今後も堅調なものの、やはり都心部は高いので、近郊エリアに物件を求める動きは広がると思います。

 ほかにも、東京都の立川や聖蹟桜ヶ丘、東京以外では、埼玉県のさいたま新都心、千葉県の幕張新都心、神奈川県の海老名など、ポテンシャルの高い街が次々と台頭し、資産性も高まっています。ただ、都心近郊エリアでも駅近立地を求める傾向は変わりません。多くの街では駅を中心に商業施設などが開発され、駅近の方が生活利便性は高いからです。リモートワークの浸透で通勤頻度が減っても、暮らしやすい立地を求めるニーズは根強いものがあります。こうしたニーズを背景として、デベロッパーも駅近エリアで商住複合開発を推進していくような流れが続くでしょう。

(構成=長井雄一朗/ライター)