「アリセプト」は症状の悪化を遅らせる効果にとどまるが、それでもピーク時(10年3月期)には3200億円を売り上げた。エーザイは将来の売り上げ見通しを開示していないが、国内のアナリストは「(アデュカヌマブの)ピーク時の売上高は1兆円を超える可能性がある」と推計している。ネックは高額なこと。バイオジェンは米国での治療費は1人当たり年間で5万6000ドル(約610万円)になると公表している。エーザイは国内で100万人を見込む。承認された場合、公的な医療保険財政の圧迫を懸念する声が出ている。
「アディカヌマブ」は確かに高価だが、薬で認知症の進行を抑えられれば、介護費の負担やコストが下がる可能性が高い。この薬の価値は医療費だけでは計れない、と指摘する専門家もいる。国内のアルツハイマー型認知症患者にかかる医療・介護費は7兆円弱と推計されていて、「その過半が介護費」(専門家)との見方もある。
外資系証券会社の目標株価の引き上げラッシュが話題となっている。6月8日付でシティグループが2万円目標とした。ちなみに6月18日の終値は1万2075円(675円高)だった。
クレディ・スイス証券が1万5000円、ゴールドマン・サックスとBofA証券が各1万2000円。6月17日付でJPモルガン証券が1万4000円で追随した。これに対して、国内証券会社のアナリストは冷ややかだ。野村證券が1万8000円の目標株価をつけているのは、いわば例外。極端に低いのは大和証券。6月18日にいたっても大和は「4700円目標」を維持したままだ。
4700円ということは6月18日の終値の4割以下である。もし4700円に向けてエーザイ株を空売りして、4700円まで下げたとすると、大きな戦果を挙げることになる。だが、外資系証券会社のアナリストが目標としている1万5000円以上の株価になったりすると損が発生する。
(文=編集部)