マネックスG、“コインチェック頼み”経営の危うさ…ビットコイン価格の乱高下で株価上下

 コインチェックがマネックスGの業績を押し上げた。21年3月期の連結決算(国際会計基準)は売上高に当たる営業収益が20年3月期比46.4%増の779億円。税引前利益は5.1倍の212億円、純利益は4.8倍の143億円と過去最高益を更新した。仮想通貨市場の活況でコインチェックの取引が増え、トレーディング収益が膨らんだ。

 コインチェックの営業収益は20年3月期比5.4倍の208億円、セグメント利益(税引前利益)は33.7倍の98億円を叩き出した。マネックスは本業の証券部門でも、個人投資家の株式取引が活発だったため手数料収入が大きく増え、営業収益は16.4%増の309億円、セグメント利益は2.6倍の72億円となった。それでもコインチェックの利益が証券部門のそれを上回る。全社の税引き前利益の46%をコインチェックが稼いでいるという図式なのである。

 4月27日のオンライン会見でマネックスGの松本大会長は「各部門とも好調でグループ全体の顧客預かり資産は6.4兆円。上位地銀と同規模まで増えた」と胸を張った。年間配当は20年3月期の5.9円から12.0円へとほぼ倍増した。22年3月期の連結業績を開示していない。アナリストの業績見通しだと営業収益は21年3月期比11%減の696億円、税引き前利益は19%減の177億円、当期利益は15%減の122億円。減収・減益を予想している。ビットコインはテスラのイーロン・マスクCEO頼みの様相を強めている。もしマスク氏が手を引けば、価格上昇の風は完全にやむ。

(文=編集部)