病名がわからないまま毎日激しい痛みに襲われるというのは、精神的にもつらい状況だ。しかも、群発頭痛は現状では“原因不明の病”なので、予防するのは難しいという。
「とはいえ、有効な治療法は確立されており、治療薬として保険適用の『スマトリプタン皮下注射』が処方されます。自己注射なので場所を選ばずに使用できます。そのほか、酸素吸入も発作を止める効果がありますが、医療用の酸素供給装置が必要です。酸素療法も保険適用となっています。ちなみに、群発頭痛に市販の頭痛薬は効きません」(同)
また、群発期は「飲酒」が発作の引き金になるといわれており、群発期のアルコール摂取はご法度だという。
「ただ、長年罹患している患者さんで群発期が終わる頃に『ここ数日発作が起きていないから、群発期が終わったかどうかを確認するために酒を飲んでみる』という人もいます。飲酒しても発作が起こらなければ、ひとまず群発期は終わったと考えられるということです」(同)
また、痛みは一生続くわけではなく、60代以降になると発作が起きにくくなる傾向があるという。
「いずれ発作が起きにくくなるといっても、発作中はつらいもの。困っている人は、すぐに専門医に相談してほしい」と五十嵐氏は訴える。群発頭痛は、医師と二人三脚で治療していく必要がありそうだ。
(文=真島加代/清談社)
●五十嵐久佳(いがらし・ひさか)
頭痛専門医。富士通クリニックと東京クリニックにて頭痛外来を担当している。頭痛全般の診断や治療を行い、的確なアドバイスによって患者の症状を軽減に導く。