ネット証券、繁栄を謳歌…楽天証券は口座数で野村を逆転、SBIは営業収益で大和を凌駕

 顧客からの預かり資産の伸び率はSBI証券が49.3%増だったのに対し、楽天証券は76.2%増。楽天証券の預かり資産11兆6400億円は、マネックス、松井、auカブコムの3社の合計額を上回った。

SBIがとどめの一撃

 SBI証券は競合他社を引き離すため4月20日、25歳以下を対象に国内現物株の手数料の無料化を打ち出した。現物取引の手数料無料化は大手ネット証券では初めて。22年をめどに手数料の完全無料化を目指す方針だ。

 ネット証券の主要顧客は、手数料が少しでも安い会社に口座を開く傾向が強い。国内の「手数料ゼロ化」の動きは、今回で三度目となる。auカブコム証券が19年12月、信用取引の手数料を撤廃した。同証券はこのときの施策が影響して収益が伸び悩んだ。20年10月にSBI証券が一日の売買代金100万円までの顧客の手数料を無料にした際には楽天証券が、ただちに同様の措置を取った。そして今回、SBI証券が25歳以下を対象に国内現物株の手数料の無料化を打ち出すと、すぐに松井証券と岡三オンライン証券が追随した。楽天証券やマネックス証券、auカブコム証券は対応を保留した。

 今回の手数料ゼロの恩恵を受けるのは、一日に頻繁に売買を繰り返すデイトレーダーで25歳以下への恩恵はあまりない、との見方もある。

SBIソーシャルレンディングに業務停止命令、SBIは同業務から撤退を決める

 SBIソーシャルレンディング(SL)に対し、金融庁が5月中にも金融商品取引法に基づき業務停止命令を出す方針だ。SBISLの内部管理体制がずさんで、多数の投資家に損失を与えたことを重くみた。

 太陽光発電関連会社の工事案件にSBISLは380億円を融資したが、129億円が目的外の用途に使われた。SBISLは、ひとりの担当者にほぼ任せきりで工事の進捗状態をきちんと確認していなかった。SBIHDは金融庁の許可を得て、投資家に未償還の元本を返す。5月24日、SBIHDはソーシャルレンディング業務から撤退すると発表した。SBISLはすべてのファンドを償還し、自主廃業する。

(文=編集部)