このファクトから分かることは、日本の低インフレやデフレは金融政策の問題ではなく、政府の価格統制などによる構造的な問題であり、この問題に切り込まない限り、2%の物価目標を達成することは難しいことを意味する。すなわち、日本の物価上昇率を引き上げるためには、サービス産業の構造改革が必要であり、例えば、混合保育・混合医療・混合介護などの推進で、これら分野における政府の価格統制を弱める必要があろう。
(文=小黒一正/法政大学教授)
●小黒一正/法政大学経済学部教授
法政大学経済学部教授。1974年生まれ。
京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。
1997年 大蔵省(現財務省)入省後、大臣官房文書課法令審査官補、関税局監視課総括補佐、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。財務省財務総合政策研究所上席客員研究員、経済産業研究所コンサルティングフェロー。内閣官房「革新的事業活動評価委員会」委員。日本財政学会理事、鹿島平和研究所理事、新時代戦略研究所理事、キャノングローバル戦略研究所主任研究員。専門は公共経済学。