日色氏はジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)日本法人社長から18年、マクドナルドに転じ、19年3月、カサノバ氏の後任としてマクドナルド社長の椅子に座った。スマホアプリで注文や決済を済ませるモバイルオーダーや宅配対応を積極的に進めてきた。
20年12月期に営業増益になったのは、巣ごもり需要の取り込みに成功したからである。昨年11月からコロナ第3波が襲った。21年1~3月期の既存店の客数は前年同期比4.6%減となったが、客単価は14.2%増と2ケタの伸びを続けた。売上高は9.0%増だった。
21年12月の連結営業利益は前期比2%増の320億円と、2期連続の最高益を見込んでいる。日色社長は「業績を伸ばす施策には短期的なものと中長期的なものがある」とはっきり区別している。短期はドライブスルーのオペレーションの改善やモバイルオーダー機能の充実、キャッシュレス対応の拡大など利便性を高めていく。中長期では店舗開発に力を注ぐ。新店の出店だけではない。既存店は敷地を広げて建て替え、キャパシティを向上させる。既存店の建て替えは20年に20店で実施し、売り上げが3割伸びた店も出たと日色社長は語る。
店舗の建て替え、厨房の能力アップ、ITシステムへの投資を加速する。新型コロナ下で宅配の利用が急増したが“コロナ特需”の色彩が濃い。コロナ収束後にものをいうのは店舗の絶対数である。店舗数のピークは02年の3891店だ。業績が悪化したことにより店舗網の縮小を余儀なくされ、3000店を下回る状況が続く。3月末現在で2921店である。3000店の確保を急ぐ考えだ。
4月、日本マクドナルドは、読売新聞の販売店スタッフがマックデリバリーサービスを担う取り組みを開始すると発表した。日本マクドナルドは、「デリバリーをご利用のお客様が増えている中で、地域を知り尽くしたYCのスタッフの皆さまにマクドナルドの商品を届けていただけることになりました。この協業により、より多くのお客様にできたての商品をお届けしてまいります」としている。
(文=編集部)