『モンスターハンター』に飽きた人こそ『ライズ』に触れるべき!あの頃の高揚感が再来

 単純に崖を飛び越えて追うだけでなく、ジャンプ中に空中で向きを変え、目の前の岩壁をかわしてさらに先に進んだり、高所から降りる際に飛距離を伸ばすなど、最近完結した某作品ばりのアクロバティックな動きも慣れ次第で可能になっていきます。

 従来の『モンスターハンター』の主なゲーム性は、自分の使う武器と、狩りのターゲットとなるモンスターについて理解を深め、交戦するテクニックを磨いていくというものでした。「フィールドを知り、獲物を追う楽しさ」が皆無というわけでもないのですが、むしろ「落とし穴」や「閃光玉」といった狩猟道具を活用してモンスターを拘束、追跡時間を減らすことが重視されてきました。

 しかし『ライズ』は、フィールドのシームレス化と翔蟲の追加により、「獲物を追跡すること」自体を楽しい遊びに昇華させ、新たな魅力として打ち立てたわけです。

シームレス化=面白くなるわけではない

 ご存じの方も多いとおり、じつはフィールドがシームレスになった『モンスターハンター』は『ライズ』が初ではなく、18年に発売された『モンスターハンター:ワールド』(PS4/Xbox One/PC)から。しかし『ワールド』は魅力的な世界観により浸れるようになった一方で、モンスターを追跡する手間が増えた感は否めませんでした。結局のところ、シームレス化だけではなく、それをどう料理するかによってゲームの味わいが変わるわけです。

 もちろん、『ライズ』の立体的でアクロバティックなアクションに「しんどさ」を感じるプレイヤーも少なくはないでしょう。その場合は大型犬のような生物・オトモガルクに騎乗し、従来の作品に近い感覚で、かつスピーディーにモンスターを追うこともできます。

 ここまで翔蟲を絶賛してきた筆者ですが、新たな狩りのフィールド(ちなみに今回は大社跡、寒冷群島、砂原、水没林、溶岩洞の5つが存在します)に慣れるまでの間はガルクをメインに使っていましたし、今でも気楽に遊びたい気分のときはガルクを選んでいます(笑)。

『モンスターハンター』に飽きた人こそ『ライズ』に触れるべき!あの頃の高揚感が再来の画像3

 また、『ライズ』にはモンスター操ることができる「操竜」や、人里に押し寄せる多数のモンスターを大砲や速射砲を駆使して撃退する「百竜夜行」などのド派手な新要素もあり、こちらも大いに楽しめるものでした。

 とくに操竜は「長年これを待っていたんだ!」と思わず声を大にしたくなる要素。これまでハンターの立場で苦しめられてきた毒ガスや電撃、熱線などでほかのモンスターを攻撃することができ、痛快の極みです(笑)。攻撃の強弱だけでなく、相手との間合いや位置関係によって出せる攻撃が変化するので、何度も試してみたくなる奥深さもあります。

 ほかのプレイヤーと一緒に遊んでいるときは、操竜中のモンスター同士が対峙することもあります。基本的には狩猟のターゲットとなるモンスターが弱るように協力することが望ましいのですが、どちらのモンスターもターゲットだった場合はガチの対戦に発展、思わずアツくなってしまいます。時代が時代なら、このネタひとつでスピンオフ作品が生まれていたかもしれません。

 そして今回の『ライズ』はSwitch本体だけでも遊べますし、テレビやモニターに映像を出力して遊ぶこともできます。地味に感じるかもしれませんが、2つのスタイルを選べることはかなり画期的なことで、『ライズ』は据え置きゲーム機派も携帯ゲーム機派も、同じ作品を同時期に、自分の好きなスタイルで遊べる初の作品なのです。

 筆者は据え置き機やPCで遊ぶことが多いので、携帯機の『モンスターハンター』は普段と違う姿勢になり、目や肩に負担を感じがちです。その逆に、携帯機で遊ばないと『モンハン』を遊んでいる気がしないという方も多いはず(むしろそちらのほうが多数派でしょうか)。

 実際に筆者自身も、携帯機用の『モンスターハンターダブルクロス』を遊んでいた友人たちとも、据え置き機/PC用の『ワールド』の友人たちとも『ライズ』を遊ぶ機会があり、それどころか、ふたつのグループの区別は次第になくなりつつあります。

 さらには疎遠になっていた知人とも久々に遊べるなど、『ライズ』がゲーム関係のコミュニティに与えた影響は、事前の予想をはるかに越えるものでした。

 4月末を皮切りに、今後も定期的なアップデートによるモンスターや内容の追加が予定されている『ライズ』。それだけに、いつ始めても一緒に遊ぶ相手には事欠かないでしょう。

 一度はハンター稼業を引退してしまった方にも、ぜひ『ライズ』には触れてみてほしいものです。きっと筆者と同じように、あの頃の高揚感を思い出すはずですから。

(文=高橋祐介/ライター、狩猟家)

筆者ツイッター

(コピーライト)

(C)CAPCOM CO., LTD. 2021 ALL RIGHTS RESERVED.