ダイソー、売上5千億円超え、勢い止まらず…無印・ニトリの半額の「300円ショップ」人気

 一方、業界4位のワッツ(東証1部)の21年8月期の連結売り上げは3%減の509億円、純利益は4%減の7億円と減収・減益になりそうだ。海外に80店を展開しているが、苦戦が続いている。21年8月期中に一部は撤退の方針だ。

 300円ショップから倒産が出た。300円均一のバラエティ雑貨ショップ「ミカヅキモモコ」を運営する三日月百子(大阪市)が今年2月、自己破産を申し立てた。負債総額は12億7500万円(帝国データバンク調べ)。アクセサリーやファッション雑貨などを300円で販売するミカヅキモモコを70店舗以上を展開し、18年1月期の売上高は30億円。近年は外国人観光客からの人気が高かったという。しかし、コロナ禍でインバウンド需要が蒸発したことで回復の見通しが立たなくなったようだ。

創業者の矢野博丈氏、アントレプレナーの日本代表として世界大会に出席

 大創産業は18年3月、創業者の矢野博丈社長が代表権のない会長に退き、次男の靖二副社長が社長に昇格した。社長交代は1977年創業以来初めてのことだった。

 博丈氏は「日経ビジネス」(日経BP社/2017年11月20日号)のインタビューで「株式公開の準備をしている」と明かした。社長交代は株式公開を見据えたもので、靖二氏が株式上場の実務を担うことになる。博丈氏は18年12月に開催された「EY アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2018ジャパン」で日本代表に選出され、19年6月、モナコ公国で開かれた世界大会に出席した。「EY アントレプレナー」は新たな事業領域に挑戦する起業家の努力と功績を称える国際的な表彰制度である。

 博丈氏は1943年北京生まれ。67年中央大学卒業。69年ハマチ養殖業に携わるも倒産、夜逃げ。百科事典の訪問販売など転職9回を経験した。72年、トラック1台で家庭用品の移動販売の矢野商店を創業。77年大創産業として法人化。87年「100円SHOPダイソー」の看板を掲げた。

 今や、国内・海外に5800店舗を超える、日本最大の100円ショップとなった。アントレプレナーを選出する際の審査委員長だった元ソニー社長の出井伸之氏は、「矢野氏は、ものの原価率にとらわれないという、ものに対する価値の見方に独自性があり、一般的な考え方とは異なります。この時代の中で100円ショップを流行らせ、新しいビジネスモデルを確立されたことが素晴らしく、今後のビジネスは、まず考え方を変えていかないと生き残れないということを証明した良い例だと思います」と講評した。

 大創産業が、「いつ上場するのか」に関心が集まる。上場すればニトリホールディングス(株価は2万1000円前後)や無印良品の良品計画(同2600円前後)の強力なライバルになるものとみられている。

(文=編集部)