「クラブハウス」ブーム、一瞬で終了か…“爆死”の本当の理由&「ボイシー」躍進の事情

 ただ、開発側の立場に立ってみると、iPhone向けの開発とアンドロイド向けの開発は大きく勝手が違います。アンドロイドは、さまざまなメーカーがさまざまな端末を出していますからね。「テッククランチ」の3月23日発表の記事を見ると、2~3カ月後にアンドロイド版がリリースと出ているので、夏以降にどう盛り返していくかでしょうね。

 そもそも、どんなアプリも利用動向は右肩上がりではなく、大なり小なり「踊り場」ができるものです。今は多くの方に使われている「スナップチャット」「ピンタレスト」なども、ローンチ当時は芳しくない結果と評判でしたからね。クラブハウスも、真価が問われるのはこれからでしょう。

音声アプリ「ボイシー」が躍進

日影 「クラブハウス」は苦戦していますが、「音声アプリだから伸びていない」というわけではないんです。図2が「Voicy」(以下、ボイシー)のMAU(Manthly Active User:月に一度でもアプリを起動したユーザー数)推移です。

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図2

――伸びていますね。「ボイシー」は日経新聞など新聞社のチャンネルのほか、個人も発信はできますが、パーソナリティが登録制で、SNS的な誰でもいつでも気軽に発信というのとは異なる、専門性や品質を売りにした音声アプリですね。以前、コロナ禍の巣ごもり需要で動画や漫画が伸びているとはうかがいましたが、音声も伸ばしているんですね。

日影 動画や漫画などの視覚的なメディアは、仕事や家事などの「ながら」シーンには不向きですからね。音声はそういったシーンに刺さった、というのはあるかもしれません。

50代女性もハマる「Makuake」の魅力

日影 最後に、伸びているアプリをもうひとつ紹介します。クラウドファンディングアプリ「Makuake」です。20年下半期の半年で、MAUをほぼ倍増させています。

「Makuake」の特徴は、クラウドファンディングの対象に「ガジェット」的なものが多いことです。サイトには「まだ世の中にないものやストーリーあふれるチャレンジが集まる『アタラシイものや体験の応援購入サービス』です」と説明があり、「クラウドファンディング」「ガジェット」「応援」がうまくつながっている印象です。こちらが、21年3月の「Makuake」利用ユーザーの性年代比です。

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図3

――男女でちょっと毛色が違っていて、おもしろいユーザー層ですね。男性は「ガジェット好き」で、ちょっとだけお金が張ってもいいから、こだわりの逸品を持ちたい……というユーザーの姿が想像できます。

 一方、女性は珍しく50代が牽引していますね。「Makuake」はガジェット的なものに限らず、百貨店にあるようなこだわりの日用品、スイーツなどもあったりしますが、これらなのか、それともクラウドファンディングなので3月に何か50代女性の心をつかむようなプロジェクトがあったのか……。

 前編でお話いただいた「ウマ娘」は若年層が牽引しており、パワフルな若年層はアプリの起爆剤でもありますが、「Makuake」のように中高年世代が牽引しているアプリも増えてきているのですね。

クラブハウス」も「利用しているのは中高年男性ばかり」とマイナスのニュアンスで言われていますが、そもそも日本の人口比で見れば、40代も60代も20代の1.5倍ほどいますからね(20代1262万人、40代1861万人、60代1831万人。19年時点)。「クラブハウス」は開き直って、日本における「フェイスブック」のような「中高年がリラックスして使うサービス」という路線もアリかもしれませんね。

(構成=石徹白未亜/ライター)