なんだか話が矛盾しているようですが、どちらかは正しく、どちらかが間違っているというわけではありません。両方の要因が働いているのです。そして、その時その時の状況で、強く作用する要因によって為替相場が動きます。景気が良い国の通貨が、「(2)金利差」の要因で上昇することもあれば、「(3)物価の上昇」の要因で下落することもあるわけです。一般に、「(2)金利差」の要因のほうは比較的早く表れやすく、「(3)物価の上昇」の要因は長い時間をかけて効果が表れる傾向があります。
そう考えると、円とドルの為替レートも今の傾向が続くとは限りません。状況次第では逆に向かって動き出すこともありますので、注意が必要です。ちなみに、いろいろな物の物価を比較して、同じ価格になる為替レートは、計算方法によっても異なりますが、1ドル=100円前後が妥当という見方もあります。
(文=村井英一/家計の診断・相談室、ファイナンシャル・プランナー)
●村井英一/家計の診断・相談室、ファイナンシャル・プランナー
ファイナンシャル・プランナー(CFP・1級FP技能士)、
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、証券アナリスト、国際公認投資アナリスト
神奈川大学大学院 経済学研究科卒業
大和証券に入社し、法人営業、個人営業、投資相談業務に13年間従事する。
ファイナンシャル・プランナーとして独立し、個人の生活設計・資金計画に取り組む。
個別相談、講演講師、執筆などで活躍。